■進化した個性派たい焼き

 辛党のぼくも町を往けば、たい焼きの芳ばしい香りにだけは釣られてしまう。クリームチーズやソーセージ、カレーなどの惣菜系バリエーションも増え個性派が増えている。また小腹減りには打ってつけだ。

 鳴門鯛焼本舗は最近、とみに店舗を増やし、全国で53店にまで到達。昔ながらの一匹ずつ焼く「一丁焼き」を、同社では「天然たいやき」と呼んでいる。手間がかかるので、焼き上がりまでけっこう待たされる。

 一匹200円もするし10分は待つしで、当初はスルーしていたが、実際味わってみると、その価値は充分にあると感じる。薄めの皮はパリパリし、餡が透けて見えるほど。甘さ控えめなのでペロリと行ける。ぼくはスタンダードの「十勝産あずき」しか試していないが、なしこお薦めの「鳴門金時いも」も確かに評判のようだ。「まるで焼き芋を食べている」感覚に陥るらしい。

 築地銀だこの『クロワッサンたい焼き』。これは4年前ぐらいに登場した、元は裏メニュー。その頃は期間限定販売だったが、いつの間にか定着し、今では全国の店舗で扱われているようだ。どこもたこ焼き台の数を減らしてまで、たい焼き台を設置。特にコロナ禍に入って、銀だこの前に人が並んでいると、たい焼きを求めての列かと気づかされる。

 その名の通り、24層に重ねたクロワッサン生地をたい焼きの衣に使用。鯛自体小振りだが、焼き型から溢れる衣まで食べる設計で、こちらもパリパリの食感が評判。さながら洋風焼き菓子で、とはいえ、餡子が入っているので、ベルギー・ワッフルなどよりはリピートしたくなるテイストだ。

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