■「ただしゃべっているだけじゃ、もうダメだ」
僕はフリーアナウンサーですけど、ただしゃべっているだけじゃ、もうダメだと思っています。
今、ラジオ番組のレギュラーを持っていますが、番組を継続させるためにはスポンサーが必要不可欠だし、リスナーを楽しませる内容も大事だし、ラジオ局からの信用も得なくてはならない。「三位一体」というか、全部を見られるプロデュース感覚がないと、今の時代には通用しません。
やりたいことを続けるために必要なのは、まず健康な体です。体がダメになると、技は磨けないし、メンタルもダメになる。だから、健康についてはかなり勉強していますよ。
健康に限らず、どうやら僕は勉強して知識を得るプロセスが好きみたいです。さまざまな「資格」にチャレンジしているのもそう。
最初は2002年に取得したファイナンシャルプランナーでした。あと、親の介護をきっかけに福祉住環境コーディネーターの資格も取りましたし、最近では話題のSDGs検定に合格しました。検定試験のいいところは、基本的なことを分かりやすく学べるところ。教科
書を読んでいるだけで知識が得られるし、それが仕事にも役立つ。特にラジオは、自分の言葉で発信する場なので、得た知識が大いに生かせますね。
70歳になった今思うのは、一日一日が勝負だな、ということです。僕は東日本大震災で妹を亡くしたとき、明日は当たり前に来るんじゃないと痛感しました。だから、今日一日をしっかり生きよう、と。
生きていれば、さまざまな問題があります。親の介護、子どもの結婚、自分の老後……キリがないですよね。でも、一日を終えて寝るときは、明るいことを考えたほうがいい。いろいろあっても「ま、なんとかなるさ」と思って、寝る。そして目が覚めたら、また新しい一日を精いっぱい、生きればいい。僕は、そう思っているんです。
生島ヒロシ(いくしま・ひろし)
1950年生まれ。宮城県気仙沼市出身。1971年に単身渡米。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校ジャーナリズム科を卒業後、TBSに入社。アナウンサーとしてテレビやラジオ番組で活躍。1989年に独立し、生島企画室を設立。現在もTBSラジオ『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』など、多数のレギュラー番組に出演。
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