■ 緊急事態宣言発令前日の渋谷で

 観に行ったのは、緊急事態宣言発令前日の渋谷の映画館。席はまずますの埋まり具合で、観客は、ぼく以外はすべて女性でした。女性同士の客は多いものの、カップル率はゼロ。20時台スタートと遅めの時間帯だったせいか、観客は女子中高生より少々上の、20歳前後とおぼしき女性ばかりでした。
 
 大まかなストーリーは、中学時代に友達もいなくてイジメにあっていた女の子(吉川愛さんが演じています)が、自分を変えるために入学した高校でラウールくんに出会ったことから人生が変わりはじめ、恋と友情で充実した青春をおくる、という内容です。

 これからご覧になる人もいるでしょうから、詳しい内容には触れませんが、劇中で、ラウールくんにはいつもツルんでいる仲間が5人います。1999年生まれの吉川愛さんをはじめみんな映画公開時の実年齢は20歳を超えていて、高校1年生というには少々「世間の荒波に揉まれてきた」感がにじみ出ているキャスティングでした。

 そんな分別も落ち着きもある若者が仲間なので、ラウールくんも授業をサボったりタバコを吸ったりタイマンを張ったり改造バイクを乗り回したりドラッグを売ったりするようなことは一切ありませんでした。普通、高校の一年が派手な金髪にしていたら、上級生の不良に「おめぇ、なに目立ってんだよ」とからまれてボコボコにされたりするものですが、ラウールくんが通う高校は良い子ばかりで、ケンカになりそうな気配さえなし。

 それどころか、ラウールくんは授業はサボるどころか病気で一度休んだだけで、その日のノートもちゃんと吉川愛さんに写させてもらうような真面目な学生ぶり。もちろんテスト前にはお友達と勉強会です。移動も改造バイクどころか自転車でした。結局、なんでラウールくんが金髪にしているのかは分かりませんでしたが、とんだ見掛け倒しの爽やか野郎でしたよ。

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