■二つの河川が合流する地域は要注意

 一方で、川の近くも、やはり危険だ。日本の河川は長さが短く、急勾配なため、雨が降るとすぐに増水し、氾濫危険水位に達しやすいという。特に、二つの河川が合流する地域は要注意だ。

「こうした土地では、18年の西日本豪雨の際に起きた、バックウォーター現象のリスクがあります。これは、本流の水位が上がり、支流から本流への水の流れが阻まれて、逆流する現象。それによって水同士がぶつかると、川が氾濫を起こし、周辺に甚大な被害を与えます」(前出の国崎氏)

 さらに、“天井川”と呼ばれる、川底が周りの土地よりも高くなっている川付近も、注意が必要だ。

 人家よりも堤防が高く、一見安全だが、堤防が決壊した際、すごい勢いで水が高地から低地に流れる。そのため流量が少ない小規模な河川でも、近隣の建物に壊滅的な被害を与えるという。

「千葉県を流れる木津川や、富山県を流れる常願寺川などが天井川として有名ですが、これらの川は人口の多い地域を流れているため、やっかいです」(前出の渡辺氏)

 日本に住んでいる以上、私たちは水害リスクと隣り合わせだが、こうした危険から、どうやって命を守ればよいのか。

 まず大事なのは、豪雨などに見舞われた際、気象庁による防災気象情報で、住んでいる地域に「警戒レベル3」が出たら、至急避難することだ。

「警戒レベルは5まであり、3は高齢者に限った避難目安レベルとされています。しかし、その段階で最悪のケースを想定し、まずは3階建て以上の鉄筋の建物へ避難してください。レベル5で冠水している中で避難する映像を見かけますが、その水には汚物をはじめ、油や化学薬品、病原菌が混じっており、それらが原因で死に至る場合もあります」(前同)

 そして心がけるべきは、避難への備え。特に雨ガッパとリュック選びは大事だ。

「雨ガッパは、100均のものでもいいですが、耐久性を考えるとアウトドアメーカーが出している撥水機能のあるウェアがベスト。ポンチョ型は、台風などの強風の際にバタついて動きにくいうえ、視界を塞いでしまう恐れもあるので、避けたほうがいいですね。そして、リュックも撥水素材のものを選びましょう。ただ、布製のリュックでも、大容量のゴミ袋を被せれば、一時的に雨風はしのげます」(国崎氏)

 正しい知識を身につけて、水害から身を守ろう。

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