■飛行機移動でエコノミーを

 歴代の野球日本代表監督のなかでも“最も謙虚”と評されるほど、選手ファーストの姿勢を貫く稲葉監督。こういった謙虚エピソードは、今回に限った話ではない。

「2019年の国際大会“第2回プレミア12”の大会期間中には、チームの飛行機移動でエコノミー席を利用し周囲の人を驚かせました。日本代表監督がエコノミー席を使うなんて前代未聞。もちろん稲葉監督にはビジネスクラスが用意されるはずだったのですが、監督自ら“自分はいいから選手たちを優先してほしい”と要望し、選手たちにビジネスクラスを譲ったんです。

 そのような稲葉監督の姿勢に多くの選手たちが感動し、チームの結束もより強まったことが、今回の金メダル獲得につながったのではないでしょうか」(同)

 2017年7月から4年超に渡り「侍ジャパン」を引っ張ってきた稲葉監督は、今大会を最後に、任期満了による勇退を予定している。その人柄と、たしかな指導力で日本代表チームを悲願の金メダルへ導いた彼の功績は、間違いなく日本野球史に燦然と輝くはずだ。

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