■ちゃんと『半沢直樹』カラーを残すうまさ
好調の理由はまず、スケールの大きさだ。日本列島が沈没する未曾有の災害という、『ドラゴン桜』の受験や『TOKYO MER』の病気・ケガに比べると、はるかに壮大なテーマで、相手は自分たちの力ではどうしようもない自然だ。そんな絶望的な状況でも、天海たちが必死に立ち向かっていく姿に、視聴者は勇気と希望を受け取っているのかもしれない。
また、原作よりも官僚や政治家、財界の要人などの存在感が強く、天海たちが裏をかきあう攻防劇も理不尽だらけでドロドロ。これが最先端科学を駆使したSFという、なじみのないジャンルでも、『半沢直樹』などを楽しんだ日曜劇場ファンを惹きつけているのかもしれない。
もちろん、ズラリと顔を並べる豪華な俳優陣の演技力が、それを実現しているのは言うまでもない。問題は災害が本格化した以降の展開で、これまでの熱い政治ドラマが影を潜め、地震で多くの被害者が出たり、国民の日本脱出計画など、暗くて重い内容になったときだ。
最近、小笠原諸島付近の海底火山が噴火して、軽石が大量に漂着する被害が出たり、震度5の地震で東京に帰宅困難者が出ており、リアルな日本でも自然災害への深刻度は増している。そんな中、視聴者がリラックスした日曜の夜に同番組を選んでくれるかが、ドラマ後半の視聴率の伸びの鍵になりそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)