■撮影が始まる前日は、緊張のあまり、おなかが痛くなる(笑)
人と出会うことってすごく大事で、今回の作品では、ふだんの生活では出会わないような人と出会ったり、聞けなかったことが聞けたりしました。今回経験したことが、これからの俳優人生にも影響があると思いますし、人として今まで以上に優しくなれそうな気がしています。これまでも、十分優しい人間だとは思っていたんですけどね(笑)。
思えば、僕の俳優人生も、もう45年ほどになります。でも、いまだに撮影の初日はちょっと苦手です。
テレビドラマや映画の撮影が始まる前日は、緊張のあまり、おなかが痛くなる(笑)。当日も朝からソワソワして何も手につかず。現場に行って皆さんにあいさつし、衣装を着てテストをやったあたりで、やっと落ち着く。「さぁ、これからこの人たちと作品を作っていくんだ」と、実感できるんですね。
60代も半ばになると、気をつけなければならないことが増えますよね。僕はサプリフェチなので(笑)、けっこうな量のサプリメントをとってますし、料理も体に良いものをおいしく食べようと工夫します。野菜が好きなんですけど、年を取ったら肉も食べないと老けるらしいので、定期的に“肉の日”を設けています。
だって、まだやってないことがたくさんあるんですよ。やったこと以外は、すべてやってないこと。一つでも多くやれるよう、日々努力を続けています。
升毅(ます・たけし)
1955年、東京都出身。1975年、NHK大阪放送劇団付属研究所に入所。その後、劇団「売名行為」を経て、「劇団MOTHER」を結成し、2002年の解散まで主宰・座長を務める。佐々部清監督の映画『群青色の、とおり道』をはじめ、多数の映画やドラマ、舞台に出演。近年の主な出演作として、主演映画『八重子のハミング』『大綱引きの恋』、NHK連続テレビ小説『あさが来た』、ドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)、『イタイケに恋して』(日本テレビ系)などがある。
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