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安倍改造内閣「新閣僚まるハダカ通信簿」

[週刊大衆09月22日号]

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順当なポストもあれば、サプライズ抜擢もあった新内閣の顔ぶれ。発足間もない新閣僚の実力を徹底調査!

9月3日、ついに第2次安倍改造内閣が発表された。

1年8か月(617日)にわたり一人の大臣の首を切ることもなく、順風満帆な航海を続けた安倍政権。

「一人も大臣を替えなかった期間で言えば、戦後最長記録になります。とはいえ、これからは年末の消費増税判断や来春の統一地方選など重要課題が目白押しです。首相は、ここで再び体制を整え、さらに強化された新・チーム安倍を結成。挙党体制で荒海に乗り出す決意を固めました」(全国紙政治部デスク)

組閣にあたって、まず首相は政権の屋台骨を背負っている中枢閣僚の留任を早々に決定した。

具体的には、麻生太郎副総理兼財務相兼金融相、菅義偉官房長官、甘利明経済再生相の安倍懐刀3人組だ。

「この3人は、いわば安倍首相と一心同体ですからね。同時に、安倍首相に忠実な前線部隊長たち、岸田文雄外相や下村博文文科相らを同職にとどめ、安倍カラーを今後とも一切薄めないことを内外に表明しました。また、高村正彦副総裁を党対策の"重し"として留任させるなど、万全な態勢で改造に臨みました」(自民党中堅議員)

ただ、「内閣改造をするたびに政権の求心力が落ちる」は永田町の"不文律"。

「そりゃ、そうでしょう。議員たるもの、誰でも大臣になりたい。新大臣が注目を集める裏では、ポストを解任された人や、期待していたのにポストにつけなかった議員たちの不満が爆発します。そのため、政権にほころびが出てくるのも永田町の常です」(前同)

その典型が、組閣前に起きた"石破騒動"だった。

「幹事長職を切られ、"格下"の安全保障法制担当相(安保法制相=特命大臣)の"内示"を受けました。特命大臣は下に省庁=部下を持たず、通常の大臣職より1枚格が落ちるため、石破茂幹事長(当時)は猛反発。一時、反安倍に動きかねない気配濃厚でしたが、結局は安倍軍門に屈服した。党内で"男を下げただけ"ともっぱらです」(安倍首相に近い自民党中堅議員)

その石破氏に代わって、新幹事長に就いたのが谷垣禎一・前法相。予想外の人選に、永田町では"サプライズ就任"の声も上がった。

「谷垣氏は、自民党が苦しい野党時代に総裁として党を支えた功労者です。温厚な人柄で他派の信頼も厚い。ただ単なる論功行賞人事ではない。財務大臣経験者ですから、消費税10%引き上げに向けて、脇を固めるには適任。党総裁時代に民主・自民・公明の3党で難関の消費増税を取りまとめたことからわかるように、政治的な実力もちゃんとある方ですね」(前同)

もちろん、谷垣氏の重用には首相の思惑もある。

「谷垣氏を重要ポストにつけることで政権内に取り込み、党内の"反安倍"を幹事長ポストで吸収する狙いもあると同時に、来年9月の総裁選出馬の芽を摘み取るウルトラ技でもあります。あの石破氏を幹事長という"座敷牢"に閉じ込めたのと、まったく同じ手法です」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

安倍首相は返す刀で残りの党三役もすべて刷新した。

野田聖子氏に代わって二階俊博・前衆院予算委員長を総務会長、高市早苗氏の代わりには稲田朋美・前行政改革担当相が政調会長に。さらに選対委員長には茂木敏充・前経産相が就任した。

二階総務会長は、衆院当選10回の大ベテラン。運輸相や経産相などを歴任、二階派の領袖でもある。

「二階氏は喧嘩上手。駆け引きでは、永田町で彼の右に出る人はおりません。また、表裏、なんでも平然とできる人物。大ベテランをつけることで、党を安定的に運営するのが狙いです」(ベテラン政治記者)

一方、政調会長となった稲田氏は従順な"安倍応援団"ぶりが評価された様子。

「第2次安倍内閣で、行革相として首相が掲げる規制改革に取り組んだ姿勢が評価されました。政治信条は首相に近い保守派。行革担当相時代も靖国参拝を欠かさない"信念の人"との評です」(前同)


統一地方選対策に小渕氏抜擢

この党役員刷新の煽りをモロに受けたのが、石破茂・前幹事長だった。自民党内では「石破さんは降格人事」と噂されているという。

「地方創生担当相として入閣しましたが、所轄の省庁を持たない特命大臣の身。石破氏は、前職の幹事長と同じく地方回りを重ねて"いざ、その時!"に備えると判断したようですが、実際は閑職に追いやられたとの声が主流です」(政治評論家・浅川博忠氏)

その石破氏が固辞した安保法制相を射止めたのは、江渡聡徳・前衆院安全保障委員長だ。

「防衛相も兼務する大抜擢です。同氏は防衛官僚や自衛隊幹部からの信頼が厚く、党内からも安保関連法案の国会答弁を担うに適任との声も多い。政権運営を考えれば、いい人選でしょう」(全国紙自民党担当記者)

政治信条は安倍首相に近く憲法改正に賛成。また、首相が副会長を務める日本会議国会議員懇談会のメンバーでもある。ちなみに、同会議は"日本最大の右派組織"とも評され、自民党を中心に289人の保守系国会議員が参加している。

組閣前に話題を集めた女性大臣の登用だが、今回入閣したのは5人。そのうち、高市早苗総務相、山谷えり子拉致問題担当相、有村治子女性活躍担当相の3人が同会議懇談会メンバーだ。

「右派組織との異名どおり、3人が3人とも、それに通じる発言や行動をしています」(前同)

たとえば、高市総務相は「(満州事変と日中戦争を)自衛のための戦争だった」と公言し、侵略性を否定。

山谷拉致問題担当相は、首相の靖国神社参拝を求める運動を推進し、12年8月には尖閣諸島で船上慰霊祭を行っている。

有村女性活躍担当相は、中国人監督によるドキュメンタリー映画『靖国』を反日的だとして糾弾。上映中止に向けて動いた"武勇伝"の持ち主だ。

「有能な女性議員ばかりですが、なかなか個性の強い面々が並びましたね。勇ましい言動が失言や国会答弁でのトラブル発生にならないといいのですが……」(前出・ベテラン政治記者)

一方、同じ女性大臣でも今改造の目玉のひとつが、小渕優子・前財務副大臣の経産相抜擢人事だ。

「当初、安倍首相は小渕さんを幹事長に据えたかったんです。ただ、年齢が若すぎるという声に押され、経産大臣に落ち着きました。小渕恵三・元首相の長女という毛並みのよさに加え、父の地盤を引き継いだことで選挙が抜群に強く、スキャンダルとも無縁。演説がうまく、選挙では応援弁士として引く手あまたです。来春の統一地方選での"看板"として、すでにすり寄る議員も現れていますよ」(前出・自民党担当記者)

新幹事長が地味(失礼!)だけに、選挙では小渕経産相が全国を飛び交うことになりそうだ。


塩崎氏は短気な性格が問題?

一方、物議を醸しているポストもある。その筆頭が農水相だという。

「西川公也農水相は、オーストラリアを訪問して日豪EPAの取りまとめを行うなど、TPP早期妥結に向けた努力が首相の目に留まっての大臣就任でした」(自民党農林族議員)

ただ、この人事にもウラがある。

「バリバリの農林族の西川氏が"努力した結果、TPPは以下の条件で受け入れざるをえませんでした"と言えば、農業団体の反発を最小限に抑えることができるという安倍首相の"深謀遠慮"も、多分に含まれています」(前出・鈴木氏)

かつて、わが国がウルグアイ・ラウンド(世界貿易上の障壁をなくし、貿易の自由化や多角的貿易を促進するために行われた通商交渉)を受け入れた際、補償名目で農業関係者に巨費を配布した。その場しのぎのバラマキ政策の結果、温泉ランド建設など、不要不急の"無駄な支出"につながり、強い批判が出た。

「TPP妥結に際し、同じことが起きないか。農林族の西川氏では、失礼ながらその二の舞にならないかと心配されているんです」(農水省担当記者)

安倍首相の"お友達"塩崎恭久氏の厚労相就任にも疑問の声が上がっている。

「第1次安倍内閣で官房長官を務めた塩崎氏ですが、あまりの安倍お友達の偏重ぶりに党内から批判沸騰。同内閣が短命に終わった大きな要因のひとつとも言われた。当選6回を重ねた今、昔とは違うところを見せてほしいですけどね」(前出・自民党中堅議員)

その塩崎厚労相に心配されているのが"短気な性格"なのだとか。

「仕事に厳しく、ワッと怒るタイプのため、今から省内はピリピリです。第1次安倍内閣時同様、面従腹背でやり過ごそうと早くも口にしている幹部連中もいますよ」(厚労省関係者)

他にも、東日本大震災復興に関係したポストがヤリ玉に上がっている。

「第1次小泉改造内閣で環境大臣政務官を務めたとはいえ、所管する震災復興に何ら実績がない望月義夫氏が環境相に就任。また、故竹下登・元首相の弟というだけで復興相についた(!?)竹下亘氏にも、政策実施能力に不安の色を隠さない議員は多い」(ベテラン政治記者)

前出の浅川氏が言う。

「今改造内閣は、地味だけど実務型堅実内閣といったところです。ただ、その裏には安倍首相再選シフトの影が濃厚です。この改造で石破氏や谷垣氏などライバルを封じ込めたと自負する安倍首相。これで来年9月の総裁選は無投票当選確実と、密かに微笑んでいると思います」

まずは新内閣の船出に注目したい。

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