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「恐怖の老後破産」55歳からの防衛術

[週刊大衆11月17日号]

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6人に1人が生活保護水準を下回る"爪に火を点す"生活。蟻蟻地獄にハマらないために、今あなたは何をすべなのか

「独居老人の孤独死……マスコミでそう報じられるたび、将来、自分がそうなるのが嫌で、これまで婚活に励んできました」
と言うのは、バツイチの会社員・Aさん(59)。
ところが、今、彼が孤独死と同じく恐れているのは"老後破産"だという。
「9月末にNHKスペシャル『老人漂流社会"老後破産"の現実』という番組を見て、背筋が凍る思いがしました」(Aさん)
Aさんが戦慄を覚えたのは、電気代を払えず、薄暗いアパートの部屋でインタビューを受ける、83歳の独居老人の姿だったという。
「退職金を使い果たし、年金暮らし。年金から家賃を支払うと、月々の生活費はわずか4万円。ガスの炎を明かり代わりに無理くり生活しているんです……」(前同)

65歳以上の高齢者人口は3200万人を超え、人口の4人に1人が高齢者となった超高齢化社会の日本。核家族化などが進み、3200万人のうち5分の1、実に約600万人が一人暮らしを余儀なくされているが、こんな事実を知っているだろうか?
「その半数にあたる約300万人は、生活保護基準よりも低年収である世帯と推定されますが、生活保護を受給できない世帯が7割近くの約200万人もいる。食べるにも困る、この200万人の窮状を"老後破産"と呼ぶんです」(全国紙経済部記者)
高齢者の16人に1人が"老後破産"の状態にある現代。とはいえ、多くの50代は"自分は大丈夫"と思っているはず。取材を始めるまで、本誌記者もその一人だった。だが、記者が取材した高齢者は口をそろえて、「50代の頃、まさか自分の老後が、こんな悲惨なものになるとは思わなかった」と証言するのだ。
いったい、何が起きているのか。

Bさん(77)は65歳で定年退職するまで、ごく普通のサラリーマンだった。妻と息子と同居し、蓄えは退職金を含めて2000万円。住居は持ち家で、ローンも完済している。これから、まさに"理想の老後"を過ごせるはずだった。
「ところが、息子が会社の上司とのトラブルから退職してひきこもりとなり、時を前後して妻にも先立たれてしまいました」(Bさん)
息子の稼ぎは当てにできず、頼れるのは月18万円弱の厚生年金だけ。2人分の生活費をやりくりするのが精いっぱいの金額だった。
「それでも貯金がありましたから、たまには現役時代に嗜んだゴルフを楽しむなど、老後をそれなりに謳歌していたんです」(前同)
だが、当然のことながら貯金残高は減り続ける。ゼロへのカウントダウンが聞こえ始め、
「これではいけないと思い、生活を切り詰め始めました。しかし、家事は妻任せでしたから、それがストレスとなり、酒に溺れ、肝臓を壊して入院生活が続くようになったんです」(同)
かさんでいく医療費。ついには、貯金を使い果たしてしまったというのだ。
マジメに勤め上げたとしても、安心はできない。口を開けて待ちかまえる"地獄の老後破産"は、なぜ無辜(むこ)の民を呑み込んでしまうのか。

その大きな要因が、年金だ。
BRICs経済研究所代表の門倉貴史(かどくらたかし)氏が言う。
「現在、国民年金の受給額は月額6万2800円ですが、その受給額水準は、かつての日本人の家族形態、つまり、老後は現役世代の家族と同居することを前提にして設計されています。となれば、一人暮らしの高齢者が、この金額で毎月の生活をやりくりしていくのは、かなり厳しい。しかも、毎月の年金から医療費や介護費の負担が差し引かれるため、食事などをギリギリに切り詰めないと、やっていけないんです」
還暦まで汗水たらして働いた結果がこれである。そのうえ、政府は今後、さらなる年金受給額の引き下げ、を含む"国民負担増"を予定している――。"恐怖の老後破産"は他人事ではないのだ。

それでは、10年後に定年を迎えるであろう"55歳からの防衛術"とは何か。門倉氏に訊くと、"老後破産予備軍"となりうる7つの条件があるという。

(1)親と同居していて親の年金に頼っている独身者
(2)子どもがニート・ひきこもりで、将来、自分の受け取る年金で家族全員を養わなければならないケース
(3)未婚のサラリーマンで厚生年金に加入しているが、報酬比例部分が少ない人(端的に言えば、給料が低い人)
(4)熟年離婚した人
(5)リストラされて現在は非正社員として働いている人
(6)貯蓄がほとんどない独身者
(7)メタボや持病を抱えている独身者
(1)は自分が働き、(2)は子どもを働かせる、(3)は婚活、(4)は妻を大事にする、(5)はどうしようもないが、(6)は頑張って貯金して、(7)は健康に気を配る――。
諦めるのはまだ早い。できることは、いくらでもあるのだ。

50代の3人に1人が貯金ゼロ

身もフタもない現実だが、やはり、先立つものは"お金"である。
第一生命経済研究所・経済調査部の熊野英生氏が警鐘を鳴らす。
「政府の外郭団体である金融広報調査委員会の調査によると、50代で金融資産(現預金・その他の金融商品)を持っていない割合は、2007年では20・6%と5人に1人の割合でした。それが、13年になると、実に33%。3人に1人の割合まで上がりました」
長引く不況のためだろうか、50代の3人に1人は貯金が1円もないというのだが、お金があっても安易に胸を撫でおろせはしまい。前述のBさんのように、退職時に退職金を含めて2000万円程度の蓄えがあっても心もとないという。

経済評論家の杉村富生氏が、こう語る。
「この低金利の時代、2000万円を普通預金に預けただけでは金利収入を見込めません。仮に預金を毎月10万ずつ取り崩したら、17年で底をついてしまいます」
一方、日本人男性の平均寿命は現在、80・21歳にまで伸びた。
逆算すれば、63歳の時点で2000万円の蓄えがあって、ようやく平均寿命まで人並みの生活ができるということだ。
加えて、"負債"に数えられる住宅ローンも問題だ。
「45歳でようやくマイホームの夢を実現しても、30年ローンを抱え、定年で年金収入だけとなれば、破綻する恐れは十分にあります。55歳の時点でローンが残っていれば、なんとか60歳までに繰り上げ返済することが大事です」(前同)
そして、お金と同じく大切なのは(7)の健康不安への対策。常日頃から気を配り、病気にならないことだ。

以上の努力も空しく、結果、破産しそうになってしまうこともあるだろう。
「その場合、速やかに生活保護を申請することです。恥だと思うケースが目立ちますが、まず社会に迷惑をかけるという意識を捨てることが大事です。誰もが健康で文化的な最低限の生活を送れるというのは、憲法で認められた権利。生活保護申請の前に、役所では法律相談を無料で行っていますから、弁護士に相談してみることも大切でしょう」(前出・門倉氏)

一度しかない人生。55歳から十分に備えて、晴れ晴れとした老後を送ろうではありませんか。

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