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安倍晋三VS石破茂VS谷垣禎一「自民党ドロドロ主導権バトル」

[週刊大衆12月29日号]

憲法改正にこぎつけたい総理、地方に叛逆の火種を撒く防衛族、最後のチャンスに賭ける幹事長。今、決戦の火蓋は切られた――。

ニッポンの浮沈を左右する永田町新勢力図が、ついに決した。
「突然の安倍首相の衆院解散宣言(11月18日)から約1か月。首相の"消費再増税先送りとアベノミクスの信を問う"との旗印に、野党側は"アベノミクスの耐用期限は切れた"と真っ向対決。寒空を吹き飛ばす熱い選挙戦が各地で演じられました」(全国紙政治部デスク)

その天下分け目の一戦に審判が下された今、
「新政権は、早々に特別国会を召集(12月25日以降の予定)し、首班指名、ひいては組閣へと、慌ただしい年の瀬を迎えることとなります」(同)
バッタバタの師走の最中、最大のキーパーソン・安倍首相の動向に熱い視線が注がれている。
「解散・総選挙という大勝負を終えた首相は、今後、自らの政治信条の"憲法改正"、そして"戦後レジームからの脱却"に向けて、なりふり構わず突き進むと見られています」(自民党中堅議員)
どうにか選挙戦を終えた安倍首相だが、順風満帆かと言えば、さにあらず。
「情勢はまったく逆です。年明け早々に開催される通常国会では、国論を二分する集団的自衛権行使に関わる安保法制、さらには原発の再稼働など難問が山積しています。首相がよって立つ"アベノミクス"も、成果が出なければ、国民からの大反発必至です」(前同)

正念場の安倍首相だが、ここにきて不穏な影が。
まず、首相の地元・山口県で"お家騒動"が勃発しているというのだ。
「火元は、首相の"ゴッドマザー"こと洋子氏です。彼女は、岸信介・元首相の長女であり、安倍晋太郎・元外相の妻。同時に、安倍首相に政治家のイロハを叩き込んだ猛母でもあります」(地元の保守系県議)
その洋子氏が、なんたることか、安倍首相の後継者を指名したというのだ。
「三菱商事パッケージングの社長を務める長男・寛信氏の子ども、つまり首相の甥である孫・寛人氏です。すでに動き始めており、地元の後援会への報告と挨拶を秘密裏に始めたと聞いています」(前同)
つまり、いつ何時、足元をすくわれてもおかしくない状況にあるのだ。

他方面でも苦難の行軍を余儀なくされている。第1次安倍政権(06年9月~07年8月)を投げ出さざるをえなかった持病(潰瘍性大腸炎=難病指定、完治は困難)の悪化説が言われ、あの"政権放り出し惨劇"の二の舞も、とささやかれだしているのだ。
「先の臨時国会では、持病治療に使っている薬の副作用なのか、頻繁にトイレに。体調が良くないみたいで、ちょっとしたことでもイライラしてばかりでした。また、選挙戦当初、某テレビ番組に生出演したときは、"景気が良くなったとは思えない"との街頭インタビューにVTRは国民の声を反映していないとブチ切れ。国のトップにあるまじき、見苦しいまでの感情爆発を見せました」(ベテラン政治記者)
首相の体調を憂慮し、今、首相官邸と公邸では防衛医官が24時間態勢で待機。定期的な点滴まで行っているという。
「"高転び(人気絶頂でボロを出す)"は、永田町権力者たちの常。そんな首相を見て好機到来と、ギンギンに勃起(ヤル気十分の永田町言葉)する人たちも出てきました」(前同)

それが、巷間、ポスト安倍有力候補と目されている石破茂地方創生担当相と、谷垣禎一幹事長の2人だ。
まずは、"安倍首相の永遠のライバル"石破氏。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「今回の総選挙でも、八面六臂の活躍でした。多いときには1日10か所と積極的に地方を行脚。ちなみに、地方を回る際、今回の総選挙を"アベノミクス選挙"とする首相と違い、"日本創生選挙"と命名して喧伝。これは、安倍首相に対するファイティングポーズそのもので、選挙後は、自分が主役になると明言しているも同然です」

ギスギスした関係も、むべなるかな。安倍首相と石破氏の間に存在する怨念の溝は深い。キッカケは、第1次安倍内閣時に行われた参議院選挙(2007年7月)。自民党は歴史的大敗を喫し、1955年の自民党結党以来、初めて参院第1党の座を明け渡した。惨敗後、安倍首相の追及の急先鋒に立ったのが、誰あろう石破氏だった。

同氏は、「私だったら、即座に(首相を)辞めて、落ちた人のところに謝って回る」「首相が退陣しなければ、自民党が終わってしまう」
と、最後通牒まで突きつけて退陣要求をしたのだ。以後、「安倍氏は蛇のように執念深く、一度恨みを買うと絶対に許してもらえない」との永田町定説どおり、石破敵視は執拗に続いた。
前出・ベテラン記者が、こう言う。
「石破氏と安倍氏が争った先の自民党総裁選(12年9月)では、石破氏が自民党地方票を総ナメ。安倍氏の心胆を寒からしめました。これ以降、安倍氏は石破氏を最大のライバルと断じ、その処遇には細心の注意を払うことになるんです」

進次郎に次ぐ石破の党内人気

第2次安倍内閣発足時(12年12月)、石破氏を幹事長職に就けたものの、選挙公認権や党資金の差配は大幅に制限。
また、第2次安倍改造内閣では、いつ成果が表れるともしれない地方創生担当相に配し、浮上の芽を摘み取った。
「安倍首相は、これで石破氏の手足を完全に縛ったとして、"もはやライバルではない"と一人、ニンマリでした」(安倍首相に近い自民党議員)
一方、一敗地にまみれた格好の石破氏だったが、ここにきて石破シンパ議員が集まる無派閥連絡会を結成。自身が顧問に就任して(10月)、名実ともに石破派を旗揚げ(=反安倍の狼煙)。決起の時を今や遅しと手ぐすねを引いている。

だが、ヤケを起こしているのではない。"確証"があるのだ。
「今回の選挙戦でも、石破氏は圧倒的な地方人気を見せました。自民党内で、遊説のオファーが一番多いのが小泉進次郎復興大臣政務官で、次が石破さん。愛想もいいし、喋りも立つ。しかもキャラが濃いから目立つ、ということでしょう」
と言うのは、自民党選対幹部。アベノミクスで潤う都市部&富裕層に反して、各地方&庶民層は、やはり石破シンパ。しかも、さらに勢力を伸ばしているというから驚くばかりだ。
「一方で、安倍首相は、"呼んでもないのに来る"とまで言われ、現場での評判は良くない。総裁選でまた両者がぶつかれば、石破さんが勝利する可能性も十分ありえますよ」(前同)

安倍首相、大ピンチ!
しかも敵は一人ではない。
かたや、谷垣禎一幹事長も、柔和な表情とは裏腹に、総理の座への執念を日増しに強めるばかりだという。
政治評論家の浅川博忠氏が言う。
「安倍内閣が突き進む右傾化路線に対して危惧を抱く自民党ハト派の面々は、首相と同じタカ派の石破氏より谷垣氏のほうが支持しやすいと、次々に谷垣氏に熱視線を送り始めています」
具体的には、いまだに自民党で隠然たる影響力を誇る野中弘務・元幹事長、古賀誠・元幹事長ら自民党の長老グループ。さらには、自民党リベラル派、財政規律派の面々だ。また、中曽根康弘・元首相も谷垣氏を推しているという。

谷垣氏は今日に至るまで、闘志を燃やし続けている。
「第2次安倍内閣発足時に、重要ポストである衆院議長を打診されました。しかしながら、谷垣氏は即座に拒否。その心は、総理の座を諦めていないとの意思表示です。毎週水曜日の派閥会合にも、積極的に出席しています」(前同)

加藤紘一の娘を応援した谷垣

現役バリバリでまだまだ枯れない谷垣氏だが、今衆院選では"政治の師"とあがめる加藤紘一・元幹事長の地元・山形3区に強い思い入れがあったという。
「現在、同選挙区は加藤紘一氏が引退し、その娘・鮎子氏が自民党公認で出馬。谷垣氏は、鮎子氏の講演会で"鮎子さんを東京に送っていただいたら、若い頃、(私が)加藤(紘一)先生にしていただいたように、立派に働いてくれる政治家に育て上げる。私がお約束する!"と、熱弁しきりでした」(地元紙記者)

00年の"加藤の乱"の際、森喜朗首相(当時)への内閣不信任案の賛成に走ろうとした加藤氏に、谷垣氏が、
「加藤先生が大将なんだから、一人で突撃なんてダメですよ」
と泣いて諌めた行動は、現在も"お人よし谷垣"を語る際、永田町では必ず引用されるエピソードだ。「
加藤紘一氏は、反安倍急先鋒の一人です。その後継者を最も熱心に、最も強く谷垣氏が応援したのは紛れもない事実。そこに、人のよさでなく、谷垣氏の"安倍首相に取って代わろう"という秘めた思いを感じ取る向きは少なくありません」(前同)

前出の鈴木氏が言う。
「個人的事情もあります。というのも、自民党の規約で定年70歳以後、小選挙区からは出馬できないと定められており、今、69歳の谷垣氏は、このままでは引っかかってしまいます。ですので、来年9月の自民党総裁選は、谷垣氏にとって最後のチャンス。勝負に打って出る可能性は十分ありますよ」

一方、これら手強い獅子身中の虫を抱えた安倍首相も、黙って指をくわえて見ているだけではない。
「長期政権を視野に入れ始めた安倍首相は、ライバル潰しは怠りません。最大の一手が、先の内閣改造で谷垣氏を幹事長に据えたことです」(前出・ベテラン政治記者)
谷垣氏を党ナンバー2に就けることで、石破氏のライバルとして急浮上させる奇手を打ったのだ。
「ライバルが石破氏一人なら、一騎打ちになり、党は二分されます。そこで、谷垣氏を幹事長に起用したため、総裁候補は複数になりました。それぞれの支持層は分断され、結果的に、ライバル勢力は弱体化。安倍首相に有利に働くという思惑です」(前同)
一番の敵は党内に――今、安倍首相の手腕が試されている。

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