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年金機構125万人個人情報流出! 闇社会が狙う「年金サギ」の手口

[週刊大衆06月29日号]

年金機構125万人個人情報流出!  闇社会が狙う「年金サギ」の手口

市民の老後を守るはずの事業が犯罪者の片棒を担ぐまさかの事態――。誰しもに襲いくる惨劇の実態を本誌が暴き出す!

ある捜査幹部が「被害の全貌(ぜんぼう)がつかめず、非常にまずい事態」と漏らすのは、今月1日に公表された日本年金機構の個人情報流出。同機構の発表によると、5月8日、パソコンに送られて来た"仕掛け"に職員が引っかかり、外部から第三者が不正に侵入。結果、125万人もの個人情報が何者かに盗まれてしまったのだ。

今回、流出したのは、氏名、生年月日、基礎年金番号、住所の4種類。読者の中には、氏名や生年月日を知られても何も困らないという方もいるかもしれないが、これがどう危険なのか、冒頭の捜査幹部が説明する。
「現代社会では個人情報を入手することは、その人の財布や銀行口座、もっと言えば生活そのものを手中に収めたことを意味する。そのため、個人情報を収集する業者や、それらを職業や年齢別などに分類して売買する闇業者も数多く存在しているんだ」

実際、今回の事件で流出した情報は前述した4種類なのだが、
「氏名、生年月日、基礎年金番号の3つがあれば住所の変更が可能。つまり、自分の知らぬ間に住所が変更されて悪用される可能性が100万人以上にあるということだ」(捜査幹部)
知らぬ間に住所変更される?

厚生労働省によると、情報流出を公表した6月1日までに行われた年金加入者などの住所変更は、109件あったというが、そのうち"悪意のある住所変更"がどれだけあるのかは、わかっていない。

さらに問題なのは、今回の流出事件に便乗して、情報流出とは関係のない人を騙(だま)す詐欺が、各地で横行していることだ。全国紙社会部記者が説明する。
「年金機構や警察の名をかたって、"あなたの個人情報が流出してしまいました"と電話。それから口座情報を聞きだして金を引き出したり、"手数料がかかるが、個人情報を修正できます"と金を騙し取ろうとする者が現われたんです」

警察庁によると、このような電話は判明しているだけでも、今月8日までに全国31の都道府県で183件あったという。
この事態を受けた日本年金機構は、流出してしまった本人への通知を、電話ではなく、すべて手紙によるものとしたのだが、
「詐欺グループの中には、すでに偽の手紙を作成して送付した組織までありましたから、これから多くの被害が出てくることが懸念されます」(同記者)

流出した125万人だけでなく、不特定多数の一般市民までを毒牙にかける"年金流出詐欺"――。そのターゲットが「明らかにシニア世代だ」と語るのは、これまで詐欺事件を起こした経験があるという広域団体の2次組織最高幹部の長澤氏(45・仮名)だ。

長澤氏は「詐欺で肝心なのは当然のことながら、どうやって騙すかだ」と話し、"不安"はその格好の材料なのだと言う。
「テレビや新聞で"気を付けてください""高齢者が狙われています"と毎日のように注意喚起されれば、多くの人が焦るだろ? そうして不安が高まった人間に"情報が流出してしまいました""危険なので、すぐに変更しましょう"とけしかければ、乗りやすいものなんだよ」

現在、韓国で流行中の感染病MERSでも、
「致死率50%を5%にまで引き下げられるワクチンがあるとか、特殊マスクを限定入荷したとか適当に話を作って、金を騙し取ることができる」(長澤氏)

このような、被害者に対面せずに電話や手紙などで金を騙し取る詐欺を「特殊詐欺」と呼ぶ。オレオレ詐欺や還付金詐欺、ギャンブル必勝法詐欺などが、その典型例だ。
ここ数年で特殊詐欺の被害は急増、過去最高となる被害額を記録した昨年は、約560億円もの金が裏社会にむしり取られたのだ。

「今年もその流れは変わらず、今年1~4月までに4739件の詐欺事件が発生し、その被害額は156億円に達しています」(前出の社会部記者)
このような特殊詐欺グループに日本年金機構から流出した個人情報が流れている可能性があるため、2次被害、3次被害と拡大する可能性もある。

さらに、「特殊詐欺に一度引っかかると、より狙われやすくなる」と警告するのは、警視庁OBで犯罪ジャーナリストの北芝健氏。
「実は、詐欺に引っかかったことのある高齢者だけをまとめた"名簿"が裏取引されていて、一度騙された人を何度でも引っかけようとするんです」

出会ったが最後、蟻地獄のごとく金を搾り取られるなどという悲劇に遭う可能性を少しでも低くする方法を、特殊詐欺に詳しい紀藤正樹弁護士が話す。
「実は、留守番電話がすごく効果的なんです。詐欺集団は留守録を嫌がって、電話を切ってしまいますから、常に留守番電話にしておき、電話が来た場合は、相手の声を聞いてから出るといいと思います」
安倍政権と詐欺の意外な接点

特殊詐欺が横行している一方で、対面詐欺がなくなっているわけではない。
今回の年金流出に絡んだ対面詐欺も、これから十分に起こりうるという。
「日本年金機構の職員を名乗って、対象者の自宅を訪問。"このたびは本当に申し訳ありませんでした"と土下座謝罪なんかしてから菓子折を渡せば、詐欺師だと疑わずに信じる人は多い。信じ込んだ人間に、"年金の振込実態を確認するため、通帳を拝見してもよろしいですか?"と聞けば、簡単に預けてくれる。あとは、金を引き出せばいいだけだから」(長澤氏)

もし、少しでも「怪しい」と感じ、断ろうとしても、詐欺師は別の手段に出る可能性があると長澤氏は言う。
「断るべくドアを閉めようとしたり、警察に電話しそうになった場合には、力ずくで脅すんだよ。老人からすれば、力で勝てると思わないから、さらなる暴行を匂わせて、"この人たちと関わりたくない"と思わせれば、あとは"お金さえ払えば、この場が終わる"と感じ、仕方なく金を出してくれるよ」

これではもはや詐欺ではなく恐喝としか言いようがないが、似た例はほかにもあるという。その一つを、長澤氏に教えてもらった。
まずは、実行犯が対象者に接近、「すいません、一瞬だけ、これを持っていてもらえませんか?」と無理矢理カバンや紙袋を手に持たせ、別の人間が隠れて、その様子をカメラで撮影するのだという。

「翌日、その対象者宅を訪問、撮影した写真を出して、"覚醒剤密輸や盗難事件などに加担した証拠を持っている。警察に突き出すぞ"と脅すだけなんだ。あとは、"口止め料""和解金"などと名目を付けて、その場で金を受け取ったり、架空の弁護士を立てて、そいつに渡させてもいい」

このような、事件の加害者に仕立て上げる手口が急増しているというが、それには理由があると言う。
「被害者が"怪しい"と思っても、"警察に訴え出て、もし本当に逮捕されたらどうしよう"との不安から、名乗り出る例はかなり少ないんだ」

対面詐欺のターゲットも、「裏社会に回っている個人情報を精査して決めることが多い」(同)というから、年金流出事件の怖さを改めて感じざるをえない。
「安倍政権は、今年10月までに国民一人一人に"背番号"を付与するマイナンバー制度を導入するつもりですが、今回の流出事件のように、この制度が国民の詐欺被害リスクを高めることになりかねません」(全国紙政治部デスク)

いつ、どこで危機にさらされているかわからない現代社会。その災難は、あなたの身に、いつ降りかかってきてもおかしくない。

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