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健康寿命を延ばす「歯のヒミツ」33

[週刊大衆07月06日号]

健康寿命を延ばす「歯のヒミツ」33

「芸能人は歯が命」と言うが、現代人は皆、一様に「歯が命」。お手軽で簡単な歯が強くなる方法、こっそり教えます。

「ここ1~2年で急にボロボロ抜け落ちちゃって、もう10本もないんですよね」
と、ベテランの医療ライターが溜め息をつくのは、"歯"のこと。歯周病が進行し、歯がバカバカと抜けて"総入れ歯"寸前の状態だというのだが、これは、読者の皆さんにとっても"対岸の火事"ではない。

今回、本誌では、厚生労働省が推進する「8020運動」にのっとり、80歳で20本の歯を残すための方策を総力取材。80歳以上は平均6本しか残っていない(2005年厚労省調査)現状を生き抜くための「歯の秘密」をお届けしよう。

原因は多々あれど、"虫歯""歯周病"の口腔内2大疾患が歯を失う理由の大半。
中でも、「(1)一度に大量の歯を失いうるという点では、歯周病のほうが格段に恐ろしい」と言うのは、神奈川歯科大学元教授の齋藤滋氏。

「(2)虫歯になっても、きちんとケアすれば、歯は100歳を超えても保てます。でも、(3)歯周病は、歯周病菌が歯を支える歯茎とアゴの骨を破壊させるので、末期になると、一挙にたくさんの歯が抜けてしまいます」(齋藤氏)

ちなみに、歯周病とは、歯肉の境目のポケット(歯周ポケット)に入り込んで繁殖した"嫌気性細菌"による炎症性疾患のこと。
もっとも、虫歯・歯周病が悪化し、15本もの歯をインプラント(人工歯根)にしたお笑いコンビ「バナナマン」の日村勇紀(43)のように、若くしてほとんどの歯を失うことも。さらに、歯周病は口内だけでなく、全身に悪影響を及ぼす"諸悪の根源"なのだという。

「歯の出血箇所から、歯周病菌が血管を伝って全身に巡る。その菌が血流を妨害し、(4)歯周病は心疾患や脳疾患、認知症のリスクを著しく高めます」(齋藤氏)

『歯の本 歯医者に行く前に読む決定版』(ダイナミックセラーズ出版)の著者で、医療ジャーナリストの釣部人裕氏も、こう指摘する。
「歯周病菌が全身を駆け巡ると、(5)心臓疾患になるリスクが、正常な人より2.5倍高くなるというデータがあります。脳梗塞のリスクも高まりますし、いいとこナシ。それに、(6)歯周病菌は、胃の中のピロリ菌とアレルギー反応を起こして、胃潰瘍と歯周病の両方を悪化させうるんです」

さらに、インスリンを作りにくくする物質(腫瘍壊死因子α)を生みだすため、(7)歯周病菌は糖尿病リスクを高め、悪化させるものなのだ。歯が悪いと、こんなにも人体に悪影響があるとは恐ろしい限りだが、これは、医学界では常識とされる類のもの。

にもかかわらず、(8)日本人の成人の8割が歯周病というのが実情だ。
「(9)年齢の"齢"という字は、歯に命令されて寿命が来る、という意味に取れますが、まさにそのとおり。"歯がなくなる=早死にする"と、漢字を作った当時の人は体験的に分かっていたんでしょう」(齋藤氏)

歯周病にかからない方策は?
毎日の歯磨きもさることながら、齋藤氏が勧めるのは「よく噛んで食べる」こと。(10)噛むことが歯周病予防&改善につながる!?
噛むことだけで歯周病予防に

「私が行った実験では、卑弥呼の時代には1回の食事で4000回だった"噛む回数"が、現在は620回、子どもに至っては170回となっています。(11)現代人は噛む回数が少ない。噛むと、普段よりも唾液が10~20倍分泌されるんですが、(12)唾液に含まれるスタテリンというタンパク質は歯を強くし、リゾチームという酵素は強力な自然の殺菌作用を持っています」(齋藤氏)

よく噛まないと、満腹中枢が刺激されず、過食にもなる。つまり(13)噛まないで食べると肥満、高血圧、動脈硬化にもつながるという。
「噛むことが人との感性や感情を司る"右脳"、また記憶を司る"海馬"の働きを活性化させることもわかっています」(齋藤氏)
そう、(14)噛むことは、脳にも良いのだ。

一方、唾液中にはNGFという神経成長因子が含まれ、それが(15)認知症の予防にもなるという。歯は認知症と密接な関係にある。
「知り合いの歯科医の患者さんの話ですが、(16)歯の噛み合わせを治したら、認知症が目に見えて改善したケースがあります」(齋藤氏)

前出の釣部氏も、
「杖をついて来院した歯の悪い患者さんが、自分に合った義歯に変えたら、帰るとき杖を使わずに歩けるようになっていて、杖を病院に置いてきてしまったという話があるんです。ある診療所では、同様のケースで4人に1人が立ち上がれるようになったといいます。(17)適正な義歯を使うことで、脳の血流や神経の働きが良くなり、歩けるようになったんでしょう」

噛み合わせも大切だが、歯磨きなど"プラークコントロール"も重要。だが、自分の力だけでは不十分。齋藤氏は(18)2~3か月に一度、歯科で歯垢を除去し、口腔内を清掃してもらうことをオススメするのだ。
「自分で歯磨きするだけでは、歯垢はなかなか取れません。(19)歯周病菌は、歯垢に含まれていますから」

釣部氏も、こう言う。
「アメリカ人の成人の平均虫歯本数は、たったの1本。これに対し、わが国民は8本という統計があります。アメリカは国民皆保険でないうえ、治療費がバカ高いので、ともかく予防に力を入れている。予防で十分対応できるんです。(20)歯周病も虫歯も、9割くらいの人は自己責任で回避できるといわれるんです」

そして、病院選びも大切だ。日本は歯科医院はコンビニより多く、約7万軒もあって過当競争。目先の診療報酬欲しさに、安易な治療に手を染める"ヤブ歯科医"も数多くいるからだ。釣部氏が言う。
「基本的に、(21)大学病院は受診しないこと。大学は論文を書くのがメインで、実験的医療をされかねません。本当に腕が良いなら、大学病院に残らないでしょう」

続けて、「テレビに出てたり、本を出している有名な歯科医も考えもの。腕が良ければ人気があるし、テレビに出てる時間などないはず。(22)有名な歯医者は、かえって危ない可能性もあります」
インプラントも万能ではない

他方、本誌でも報じてきたように、バストを患者の顔にわざと当てて治療するような歯科医院もあるが、
「美人歯科衛生士をそろえて、そういう経営方針の歯科医院も多くありますが、金儲け重視で、歯科医としての理念がないんでしょう」(医療ライター)
歯のためだ。(23)"胸当て歯科医"はやめておこう。

「(24)きちんとした説明なく、歯を抜こうとする歯科も危険。セカンド・オピニオンを取りましょう」(齋藤氏)
このとき、(25)違う医者に行き「セカンド・オピニオンが欲しい」と言うと、自由診療扱いとなり保険が効かなくなるので注意を。シレッと普通に受診すればいい。これは歯科だけでなく、医者全体に共通することだ。

さて、自分に合った"良い医者"を選ぶ方法とは?
「個人的にオススメなのが、アクセスの良い(26)"町の歯医者"を3つほど選んで受診し、その中で自分が一番、納得いくところを選ぶというものです」(釣部氏)

一方の齋藤氏は、「まず、インフォームド・コンセントのきちんとしていること」と言う。(27)歯科医は説明が命。また、
「歯科医も、歯周病、矯正、義歯、インプラントなど、各自で専門分野があるので、(28)まずホームページや看板で専門分野を確かめること。保険の効かない(29)高額治療などは特に、明細書を出させましょう」(釣部氏)

さて最後は、鉄の支柱を歯茎に埋め込み、歯をかぶせる"インプラント"だ。
(30)総入れ歯は上下の片方が約1万円~と安価だが、インプラントは1本30万円~と高額だが、最近ブーム。
「インプラントが"第2の歯"といわれるほど優れているのは事実です。ただ、(31)インプラントは儲かる。土台となる骨の固さが足りないなど問題があっても、手術に移す歯科医も少なくない」(齋藤氏)

短期間でインプラントは抜け、ボロボロのアゴが残るだけの"最悪の事態"にも。さらに、(32)"インプラント病"の懸念もある。
「もともと歯周病になった生活習慣などの原因をそのままで、インプラントにしても、その周辺がまた同じように歯周病になる。となると、手の付けようがない。それに、(33)手術が失敗すれば、顔面麻痺になるリスクもあるし、ひどく体調を壊す方もいます」(齋藤氏)

インプラントとて万能ではないし、
「入れ歯にしたほうがいい人もいるし、ケースバイケース」(釣部氏)。
良い歯科医を選び、定期的なメンテを施して、ぜひとも80歳で20本残そう!!

健康寿命を延ばす「歯のヒミツ」33

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