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支持率急落…沸騰する「安倍降ろし」大暗闘スッパ抜き

[週刊大衆07月27日号]

支持率急落…沸騰する「安倍降ろし」大暗闘スッパ抜き

稀代の悪法か、激動の時代に不可欠な新法か――“平成の安保闘争”は新たな局面を迎えている。その内幕とは…!?

「今国会最大の焦点である安保関連法案(以下、安保法案)の取り扱い次第では、一気に政局に突入しますよ」(全国紙政治部デスク)

発足以来、わが世の春を謳歌していた安倍政権に暗雲が垂れ込めている。政治評論家の浅川博忠氏が言う。
「国民の"安保法案は一国会で軽々に決められるような法案ではない"との声が日増しに高まっており、安倍政権はこれを無視できなくなってきているんです」

それは、支持率急落となって表れた。朝日新聞の世論調査(6月20、21日実施)では、前回調査(5月16、17日)の45%から危険水域の30%台に急降下(39%)。第2次安倍政権発足以来最低の数値を見せたのだ。ちなみに、保守系として知られる産経新聞の調査でも、前回から7.6ポイント急降下して支持率は46.1%に。第2次安倍政権発足後、2番目に低い数字を記録した。

泣きっ面に蜂――支持率低下に拍車をかける事態も頻発している。
日本年金機構のサーバーがサイバー攻撃を受けて約125万件もの個人情報を流出した一件も、安倍政権に対する不信を招いた。
次いで安保国会で首相が民主党の辻元清美議員に放った「早く質問しろよ!」のヤジ。このヤジでは、安倍首相の一国のリーダーとしての資質に疑問符がつけられることとなった。

追い打ちをかけたのが、「憲政史上最悪」(民主党幹部)の声も上がった中谷元防衛相の「(違憲との声がある安保)法案に憲法を合わせていけばいい」(6月5日、衆院平和安全特別委員会)発言だった。安倍政権重要閣僚の一人が、あろうことか憲法と法律のどちらが上位かの分別もついていないことが判明。国会招致した3人の憲法学者が異口同音に、「安保関連法案は違憲」と唱えたのも痛恨だった。

とどめが、安倍親衛隊を自認する自民党の若手議連勉強会での問題発言。大西英男衆院議員の「(政権を批判する)マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」「経団連などに働きかけよう」という発言は、特に非難されている。これを受けてマスコミ各社は一斉に反発。安倍政権は"針のむしろ"状態となった。

それでも安倍政権は、延長した今国会期末(9月27日)までに安保法案を成立させる腹積もりだという。官邸詰め記者が解説する。
「首相は、(今週の)7月15日の衆院(平和安全)特別委員会で同法案を採決するつもりです。翌16日には衆院本会議を通過させ、参院に送るのが既定路線。参院は衆院よりも野党の勢力が強いため、"法案の審議が不十分"などの理由で野党が採決に応じない可能性があります」

その場合に噂されているのが「60日ルール」である。衆院を通過した法案が参院に送られ、60日が経過しても参院で法案が採決されない場合、衆院に差し戻され、3分の2以上の賛成で法案が可決するというもの。
「自公で325議席を押さえる衆院での可決は簡単。今国会期末は9月27日ですから、仮に衆院通過に来週いっぱいかかっても、60日ルールで法案を成立させることが可能なんです」(前出の官邸詰め記者)

ただ、安倍官邸は会期末ではなく「9.18」の法案成立を目論んでいるという。自民党関係者が明かす。
「会期末ギリギリに成立させると、どさくさで無理やり通した感が出てくる。目標は9月の連休前の"9.18"近辺。法案成立直後に連休に入り国民はレジャーにいそしむため、強行採決になっても政権へのダメージが少ないとの判断です」

しかし、支持率が急落し、国民の反発も日増しに大きくなっているにもかかわらず、首相はなぜ安保法案成立をゴリ押しするのか?
「軍拡を進める中国との安全保障上の緊張が念頭にありますが、対外的には4月の訪米の際、米議会で"この夏までに(同法案を)成立させる"と発言してしまったことが大きい。これはいわば"対外公約"ですから、もし果たせなければ退陣するのが筋です。ただ、法案をゴリ押しで成立させても支持率低下は免れない」(前出のデスク)
"分裂維新"めぐる与野党攻防

退くも地獄、進むも地獄――どちらに転ぼうとも、安倍政権は正念場を迎えている。こうした状況を政界では"政局前夜"と呼ぶが、"川に落ちた犬は石をぶつけて沈める"のが永田町の常道。そこかしこから謀叛の火の手が上がり始めたのは、当然の成り行きだろう。

「これまで重箱の隅をつつくことしかできなかった民主党が、にわかに勢いづいてきましたね。維新の松野頼久代表に急接近、来年夏の参院選を睨み、"野党再編"を模索する動きを開始しました」(前出の浅川氏)

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、野党陣営の"発情"を指摘する。
「民主党の某議員が執行部から密命を受け、松野氏が率いる維新国会議員団や、野党再編に執念を燃やす生活の党の小沢一郎代表、さらには社民党との連携に向け、動き始めています」

その試金石と見られているのが、今夏秋にかけての岩手、埼玉両県知事選だ。
「ここで野党が統一候補を立て勝利を収められれば、そのまま野党大再編が進展する可能性も」(鈴木氏)

民主党執行部も鼻息が荒い。安倍首相が執着する安保法案を"戦争法案"と断定。さらには"徴兵制復活"と大書きしたパンフレットを量産し、全国にバラ蒔こうとした(一部は発送したが、途中で中止)。「安倍首相=戦争屋」の露骨なネガティブキャンペーンを大々的に展開し始めたのだ。

「民主党の細野幹事長は、自身のブログに娘を登場させ"(徴兵制は)彼女たちにとっては現実"と喧伝。さらに同党の寺田学衆院議員などは、国会の特別委員会で"(妻が)1歳の長男が将来、徴兵制に取られるのではないかと怖がっている"と言い、安倍政権を追及しています」(前出のデスク)

そんな中、「ソーリ、ソーリ」の辻元清美・民主党政調会長代理と、「仕分けの女王」こと蓮舫・民主党代表代行の両氏もいきり立ち、「わたしこそは安倍政権を打倒する(救世主)ジャンヌ・ダルク!」とばかりに威勢がよい。
「ただ、彼女らの追及は結局、重箱の隅をつつくだけのもの。知名度があるため、取り上げられていますが、何の効果もない。それよりもカギを握るのは維新ですよ」(前出の自民党関係者)

維新は現在、松野代表率いる国会議員団(東京派)と、橋下徹最高顧問グループ(大阪派)に二分している。
「前者は民主党や旧みんなの党出身者が中心で、政策的には安倍政権とは水と油のため、民主党との連携を考えています。一方の大阪派は安倍政権に近い考えのメンバーが多いため、政権は維新を分裂させ、大阪派を与党の補完勢力に取り込む考えです」(同関係者)

6月14日夜、都内のホテルで安倍首相、菅官房長官らと会食した橋下最高顧問は、「(首相悲願の安保法制成立に)後方支援を約束」。安倍首相寄りの姿勢を鮮明にしたともいわれる。
獅子身中の虫――自民党内もざわつき始めた。先だって、自民党若手リベラル議員27人が『過去を学び"分厚い保守政治"を目指す若手議員の会』を発足。「彼らは、安倍政権に"穏健な保守こそ自民党の進むべき道"と訴え、口々に"自民党にも多様な意見があることを知ってもらいたい"と、反安倍を公言しています。
ちなみに、同会を警戒して安倍首相側近が勧誘してできたのが、報道規制などの問題発言を連発した"安倍親衛隊"だったんです。ところが、これが完全に裏目に。安倍官邸の心中は穏やかではありませんよ」(前出の自民党関係者)

自民党ハト派の宏池会メンバーが多数を占めている『分厚い保守政治を目指す若手議員の会』。
「当然、裏で指示を出しているのは、宏池会名誉会長の古賀誠(元党幹事長)と見られています」(同)

この古賀氏、安倍首相を公然と「愚かな坊ちゃん総理」と批判。政権発足から終始一貫して、反安倍の急先鋒となっている。「古賀さんの切り札は反安倍を鮮明にしている野田聖子前総務会長。9月の総裁選で反安倍決起の狼煙をあげる日を心待ちにしているようです」(前出のデスク)

党幹部のお歴々、石破茂地方創生相、谷垣禎一幹事長、二階俊博総務会長らも蠢き始めたという。
「石破氏は、すでに地方創生の法案はできあがっているため、もはや同職に未練なし。谷垣氏は安倍政権の幹事長ですから、"逃げ出すタイミング"を誤れば連帯責任で、ともに沈む。今は脱出の準備をしているところですね」(同)

一方、党内で安倍首相に直言できる唯一の人物とされるのが、二階派を率いる二階俊博総務会長だ。
「親中韓派の二階氏は安倍さんとは水と油。9月の総裁選では安倍氏支持を早々に表明していますが、今後、内閣支持率がさらに下がるような事態があれば、即座に反安倍の旗頭として立つはずです」(同)
"反安倍"中韓の不気味な動き

さらに、"秋は今"とばかりに決起を開始した勢力もいる。その筆頭が、安倍政権の原発再稼働に正面切ってノーを突きつけている小泉純一郎元首相だ。
「6月15日には、盟友・細川護熙元首相と連れ立って新潟県の大規模太陽光発電所を視察。その後、同じく反原発の姿勢を貫く泉田裕彦県知事と会談し、"福島事故の原因もまだわからない。安全対策も十分でない。再稼働の方針はおかしい"と咆哮しています」(経済産業省担当記者)

また、安倍政権が強引に組織解体の大ナタを振るったJA全中(全国農業協同組合中央会)も、復讐に燃えている。
「この8月には新会長を迎え人心を一新。新たな態勢が整い次第、大詰めを迎えたTPP交渉に反対を表明し、"復讐戦"に打って出るようです」(前出のデスク)

そして不気味なのが、安倍政権の天敵とも言える中韓両国の動きだ。
「なぜか、ここにきて反日の動きをピタッと止めている。中国と軍事的緊張が高まるようなことがあれば、"安保法案はやはり必要"に世論が傾き、安倍政権に塩を送ることになるからです」(外務省関係者)

安倍首相が敬愛してやまない祖父・岸信介元首相は、60年6月の安保騒動を経て1か月後に総辞職した。永田町の一寸先は闇――。
木々の葉が色づく秋に高笑いしているのは安倍首相か、それとも反対陣営か!?

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