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家族でカンタン検査!自宅でもできる「認知症チェック」

[週刊大衆08月24・31日号]

家族でカンタン検査!自宅でもできる「認知症チェック」

長寿化の代償に得た、今や国民的ともいうべき疾病。治療法はまだないけれど、早めの対策が有効なのだ!

厚労省の発表によると、2015年には、わが国の65歳以上の高齢者のうち、なんと700万人――5人に1人が認知症に罹患すると見られている。
「認知症は、大きく脳血管性とアルツハイマー型に分けられます。脳血管性は早期治療で治ることもあります。また、アルツハイマー型は現在の医学では完治することはないものの、遅らせることは可能。早い時期に対策を始めるほど有効で、患者本人はむろん、世話をする家族の負担も軽減できます」(医療ジャーナリスト)

このお盆休みを、家族と一緒に過ごす人も多いことだろう。そこで本誌は、自分はもちろん、両親や親戚とともに自宅でできる"カンタン認知症チェック"10項目を作成した(以下の表を参照)。

表


まずは最初の「さっきまで誰と電話していたか思い出せない」という項目。こちらに関しては、『ボケてはいけない――みんな予備軍』(早稲田教育出版)などの著書もある「よこはま土田メディカルクリニック」の土田隆院長が解説してくれた。
「勧誘の電話などがかかってきたのなら、健常者でも忘れておかしくありません。問題なのは、自分から掛けた重要な電話の相手さえ、忘れているケース。さっき食べた食事の内容を忘れることも同じ。さらに症状が進めば、食べたこと自体を忘れるように……」

昨日や今朝、さらには、ついさっきの「短期記憶」がなくなるのが、認知症の特徴だというのだ。
また、頻繁に「エアコンやテレビをつけたまま外出する」のも、認知症特有の記憶障害の可能性が高い。公益社団法人『認知症の人と家族の会』東京都支部の代表で、電話相談員の大野教子さんが説明する。

「同じことを何度も言う、問う、する。しまい忘れが増え、いつも探し物をしている。財布や通帳、衣類を本当は別の所に置いたり、捨てたのに、それを忘れて"盗まれた"と、人を疑うこともあります」

なお同会は、認知症の人と介護家族がともに支えあう会。
現在、約1万2000人が加入し、全国の支部で電話相談、会報発行、会員の集いを行っている。アンケートを実施し、認知症の実情に迫っているのも活動の一部だ。

さて、ここでカンタンなチェック方法を紹介する。
認知症の疑いがある人に、「今は平成何年?」と聞いてみよう。正解がくれば、すかさず「西暦では?」。
どちらも答えられないなら、記憶力に問題がある可能性も考えられるが、同じく認知症の特徴である時間の認識が困難になっているのかもしれない。
散らかる部屋は認知症の兆候

時間のみならず、空間の認識も難しくなる。
「アンケートには、友達同士のランチの約束の日時や場所を間違え、集合できないというケースが多く見られました。1度だけならともかく、集合場所に行かれないことが2度あれば要注意です」(前出の大野さん)

空間の認識といえば、タクシーで角を右に曲がらなければならないのに、「左」と指示するのが頻繁に起きるなら気をつけたい。
「この場合、左右失認といいます。なお、失認には、どっちが上かわからなくなる"上下失認"もあります」(前出の土田院長)

試しに「お箸を持つ手は左右どっち?」「お茶碗は?」と質問してみよう。左右反対だと、空間認知力の低下の可能性も。
前述の『家族の会』によるアンケートでは、時間と空間認識以外に、「料理や車の運転などのミスが多くなった」「新しいことが覚えられない」「テレビ番組の内容が理解できなくなった」など、判断、理解力の衰えが多く見られたとの回答が多かったという。
「よかれと思って、操作が簡単な新しいエアコンやテレビを買ってあげたら、混乱してパニックになることがあります」(大野さん)

新しいことが覚えられないので、使い方が分からなくなるのだ。また、
「たとえば『水戸黄門』のように、ワンパターンで起承転結が決まっているテレビ番組ですら、話の進行が分からなくなり、ご当人が"今、何やってんだ"と呟いて、ご家族が異変に気づくケースも」(前同)

また、部屋が散らかるようになった人も、認知症の疑いがある。捨てるべき物と取っておくべき物の判断ができなくなって、いわゆる"ゴミ屋敷状態"になってしまうこともある。
判断力の低下を手っ取り早く見るには、カンタンな計算をさせるのも有効だ。
「1200円のお小遣いを5人の孫で均等に分けると1人分いくらになる?」。
多少の時間をかけても結構。面倒くさがって電卓を使ったりするようなら、計算力の衰えの可能性が。

シャツのボタンを1つずらして、はめたりするのも、認知症患者にはよく見られるという。
「シャツのボタンの掛け違えは"失行"といい、考えている通りの行動ができないということです。認知症が脳の器質的な異常で起こるために出る現象なんです。一時的な記憶プロセスの問題で物忘れしただけの健常者なら、ボタンのかけ違いは起きえませんからね」(土田院長)

さらに、認知症の大きな特徴として、さまざまな脳の機能が低下したせいで、患者本人の性格まで変わることが挙げられる。
認知症予防のアドバイスは?

「特に、イライラしたり、怒りっぽくなるというのは、認知症に伴う性格変化としては、よく見られる症状です」(土田院長)

実際に、『家族の会』のアンケート調査結果でも、「周りへの気遣いがなくなり、ガンコになった」「自分の失敗を人のせいにする」などが多かったという。
「たとえば、これまで難なく洗濯物をたためていたのが、認知症による判断の低下などでできなくなる。以前はできていた当たり前のことができなくなったら、イライラもしますよね。そういった心情も関係あるのではないでしょうか」(大野さん)

一方、土田院長は、特に本能を司っている大脳辺縁系で認知症が進行した場合、「食欲、性欲、睡眠欲」の本能が強く出る場合もあると示唆する。
「欲望に忠実に行動するようになった結果、道端に落ちているジュースの缶の残りを飲んだりするケースも。普通は理性が抑えてますが、それができなくなるんです」

その一方、自分の変化を痛切に感じ、「"頭が変になった"と本人が訴える」「一人になると怖がったり寂しがったりする」「外出時、持ち物を何度も確かめる」など強い不安感を示すアンケート回答も多かったという。誰よりも苦しんでいるのは患者本人なのだ。

さらに恐ろしいのは、"抑うつ"と呼ばれる症状。
「活動力の低下とともに精神的な低下が現れ、それが同時に一挙に認知症を進めることもあるから、要注意です」(土田院長)

下着を替えず、身だしなみに構わなくなったり、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなったり、塞ぎ込んで何をするのも億劫がり、嫌がるようになったら、抑うつ症状の可能性が大きい。

大野さんが具体例を挙げてくれた。
「これまで、会えば"おはよう!"と元気に挨拶してくれていた近所のお爺ちゃんが無表情になり、ろくに挨拶もせず、スッと行ってしまう。また、大の相撲ファンで、場所中は毎日、生中継を見て、贔屓(ひいき)の力士が土俵際に追い詰められたら"頑張れ!"と興奮し、中腰になっていた方が、ただボ~ッと画面を見つめているだけに。認知症による判断力の衰えで勝負の結果もわからなくなり、見ていておもしろくなくなったんでしょう」

そんな認知症を予防するためのアドバイスを、土田院長が授けてくれた。
「ともかく趣味を持つこと。仕事一筋、真面目でキャリアのあった会社員ほど危ない。現役時代に頭を使っていたのが、定年で一挙に使わなくなる。しかも趣味もなく家にいがちで、話し相手は奥さんだけとなると、ついつい不満をぶつけ、熟年離婚。で、唯一の話し相手もいなくなり、加速度的に認知症は進行……。多くの患者さんを診ていると、現役時代、趣味もあり、適度に遊んでいる方が認知症になりにくい傾向にありますね」

心身ともに健康な老後を過ごしましょう!

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