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【武豊】勇気ある挑戦だったブリーダーズC

[週刊大衆2016年11月28日号]

 騎手になって30年。挑戦できるだけでも贅沢な日米のブリーダーズカップを2つとも、この手にできたら……これは、ちょっとすごいことですよね。

 表彰台に上がる自分を想像しながら挑んだビッグレースの着順は、明と暗に別れました。まずは11月3日に川崎競馬場で行われた交流G1「JBCクラシック」から振り返りましょう。僕のパートナーは、6歳にしてG1初挑戦となるアウォーディー。なんとか勝たせてあげたいとの思いはあっても、相手はすでにG1の勲章をいくつも持っている最強の馬たちです。

――どうやったら彼らに勝てるのか?

 アウォーディーの走りとライバルたちの位置取り。ペースや展開を頭の中に何度も、何度も、何度も思い描き、勝つにはこれしかないと決めたのが、ライバルたちの直後……外目の好位を追走することでした。

 不安材料は二つ。最後の直線を向くまで強豪馬たちに離されず、しかも余力を残して追走できるか。もう一つは、どこでGOサインを出すかです。これは性格的なものだと思いますが、アウォーディーは、なかなか先頭に立ちたがらない馬で、そのタイミングは早すぎても遅くてもだめ。我慢に我慢を重ねて、もうすぐ、そこがゴールというギリギリのところで差し切るというのが勝利への方程式でした。

 思いが通じたのかどうかは、馬に訊かないと分かりませんが(笑)、内容も結果も120%。こんなに気持ちのいいレースは、ほんと、騎手冥利に尽きます。

――この勢いで、アメリカのブリーダーズカップも。

 レース後、そのままアメリカに飛んで、ヌーヴォレコルトとともに、サンタアニタパークで開催されるブリーダーズカップの「フィリーズ&メアターフ」に挑戦しました。

 

 結果は11着。ニュースでは、「武豊、落胆」という文字が飛び交ったようですね。でも、これが競馬。斎藤誠先生をはじめとするスタッフ、オーナー、最後まで頑張ったヌーヴォレコルトには、感謝の気持ちしかありません。

 本当に勇気あるトライでした。いつの日か、日本馬で、ブリーダーズカップを勝ちたい――夢を諦めたりはしません。そのためには、自分自身も、うつむかず、腐らず、前を向いて。もっともっと、もっと勝てる騎手を目指します。

 今週末、20日のメインレースは、京都が舞台のG1「マイルチャンピオンシップ」です。パートナーはディサイファ。すでにG3を2つ、G2を2つ勝っている彼にとって、G1のタイトルは喉から手が出るほど欲しい勲章です。

 振り返ると、3年前にこのレースを勝ったトーセンラーも、中・長距離路線からマイルに変えたことで勲章をつかみ取りました。脚質も、性格も違う2頭ですが、目指すところは同じです。スタッフに大きな夢を託された僕も、勇気を持って騎乗したいと思います。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算4000勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】勇気ある挑戦だったブリーダーズC

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