日刊大衆TOP 娯楽

【武豊】完璧な走りで完勝したジャパンCを回顧

[週刊大衆2016年12月19日号]

 まさかの一発! 大逆転サヨナラ満塁ホームラン。薄氷を踏むような勝利。僅差の逃げ切り……勝負ごとには、いろんな勝ち方があります。でも、本当に面白いのは、強い馬が、強い勝ち方をしたとき。1番人気に推された馬で、そんな勝ち方ができたときは、もう、なんとも言えない気分です。“世界”を意識した最高の舞台、第36回ジャパンカップ――。

 キタサンブラックの勝ち方は、まさに、その言葉通りの優勝でした。「強いキタサンブラックを見せることができて、本当に幸せです」 表彰式でも胸を張って答えることができました。馬体、気配、返し馬……この日のキタサンブラックは、すべてにおいてパーフェクトだったと思います。

 レースを振り返ってみましょう。抽選で決まったのは「天皇賞・春」で勝ったときと同じ、1枠1番。スムーズにゲートを出られたら、こうしよう。わずかでも出遅れときは、こう。強引にハナを主張する馬がいたときは無理をしないで……いろんな想定をしていましたが、キタサンブラックが抜群のスタートを決めてくれたので迷わず先頭へ。気負うことなくスムーズに1コーナーに入れたことが、そのあとの走りにつながりました。

 1000メートルのタイム、61秒7。この日の馬場状態を考えると、61秒が理想だろうな――そう思っていただけに、ここまでは、すべて思い描いていた展開です。そして、勝負は4コーナーから最後の直線へ。

 ここでも後続に迫られるのは想定内。内から3、4頭分のベストコースを回って、本当の勝負は残り300メートルあたりから。エンジンを点火するのは、そこからでいいと考えていたので、ここもパーフェクトです。

 ちょっとだけイメージと違ったのは、そこからの走りでした。これまでは、先頭に立つと気を抜くところがあり、勝っても僅差がほとんど。それが今回は、最後まで力強く伸び続けて、後続を突き放す競馬を見せてくれたのです。

 悪いほうに変わるのは嫌ですが、こうしたいい方向へのイメージチェンジは大歓迎です。ウイニングランを終え、検量室前に戻ると、そこでは、9月に頸椎の手術をされ、まだリハビリ中だという北島三郎オーナーが、バンザイで僕と愛馬を出迎えてくれました。

 応援してくださったファンの前で、『まつり』を歌われたときは満面の笑みでしたが、インタビューで、「今日は泣きました。涙でボロボロでした」と話されていたように、その頬には涙の跡がくっきりと残っていました。

 今週末は香港で、エイシンヒカリのラストラン。その翌週には「朝日杯フューチュリティS」があり、それが終わると、いよいよ、ラスト1週……グランプリレース「有馬記念」です。キタサンブラックと走ってきた2016年……『まつり』は、まだ続きます。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算4000勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】完璧な走りで完勝したジャパンCを回顧

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.