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新年会シーズンを健康的に乗り切る!「お腹をいたわる」7つの方法

[週刊大衆2017年01月09・16日号]

新年会シーズンを健康的に乗り切る!「お腹をいたわる」7つの方法

 忘年会が連チャンだったのに年明け早々はオトソで一献。悲鳴を上げた内臓を休ませる手段は何か!?

 暮れも正月も、毎年必ず巡ってくるのに、この季節になると、ついつい飲みすぎる~、食べすぎる~。そうやって胃腸を酷使したら、どんなに丈夫な人でも、やがて胃腸が悲鳴を上げる。ただの腹痛と思って放っておいたら、大変な病気になっていたなんてことも珍しくはない。東京逓信病院・消化器内科医長の大久保政雄医師は、こう指摘する。

「暴飲暴食をすれば、当然のことながら胃腸の粘膜は傷つきます。夕飯を食べてすぐ横になってしまう人や食べすぎの人は、胃酸が逆流して食道と胃のつなぎ目の部分(噴門部)の粘膜がただれてしまうのです。軽度であれば、胸やけや胃もたれ、軽い胃痛程度の胃炎ですみますが、不摂生を続けて、さらに胃に負担をかけると、粘膜の傷が深くなって潰瘍になることもあります」

 経験のある読者も少なくないかもしれないが、この潰瘍から出血して、吐血や下血を起こすこともある。「ジクジクと痛みが続いて黒っぽい吐血や便が出るようなときは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍による出血です。また、肝硬変による食道静脈瘤がある人は、飲酒で食道静脈瘤が破裂し、2リットルくらい吐血することもあります」(大久保氏=以下同)

 飲みすぎてトイレで嘔吐しているうちに、急に鮮血を吐くケースも珍しくない。「それが“マロリー・ワイス症候群”です。それまで胃の不調がなくても、飲みすぎて嘔吐を繰り返すうちに、急に血を吐くパターンです。お酒が大量に入ってくることで胃が急に拡張すると吐き気を催しますが、広がった胃から細い食道へ、内容物が急に逆流するために、圧がかかって粘膜が裂け、吐血するのです。宴会シーズンは、私が勤務する都心の総合病院の消化器外来にも、1日2~3人はマロリー・ワイス症候群の患者さんが来院します」

 吐血した場合は、診断のために内視鏡を入れて食道から胃、十二指腸を診る。「今後、出血することがなさそうな場所や浅い傷であれば、薬を処方して帰宅できますが、潰瘍や食道静脈瘤の出血であれば、即入院・加療が必要です」

 よく酒を飲む人には、まだまだ病気がある。酒のアルコールに、揚げ物など脂質の多い食事が加わると、慢性的な大腸の炎症を起こす原因になるというのだ。「大腸が炎症を起こして、その壁が部分的に袋状に外に飛び出たものを憩室(けいしつ)といい、憩室炎が続くと、大量に出血します。この季節には、憩室炎で大量下血して救急搬送されてくる患者さんが増えます」

 大腸の持続的な炎症はポリープや大腸がんにも直結するが、憩室出血も食の欧米化に伴って最近増えている病気の一つだという。「1日の脂肪の摂取量が30グラムを超えると、お腹の中で炎症が起きることが分かっています。日本人に大腸がんが増えているのは、脂質の摂取量が多くなったから。潰瘍性大腸炎などの増加も同様です」

 また、酒を飲みすぎると下痢をするという読者も多いのではないだろうか。「日常的に大酒を飲むだけでも、大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:臓器を収縮させる動き)が過剰に促されて下痢を起こしますが、それ以外にも腸内細菌のバランスが崩れてしまうために、慢性的に下痢を起こしやすくなります」

 大酒は、腸内に生息する細菌や微生物の生態系、つまり、今話題の“腸内フローラ”をも壊してしまうらしい。だが、下痢の原因は、一概に胃腸の問題だけではないというのだ。

「腹痛や下痢が起きると、一般の人は“胃か腸が悪くなったのだろう”と思うのですが、実は膵臓も絡んでいることがあります。膵臓の機能が低下すると下痢を起こしやすくなります。みぞおちや背中がシクシク痛む場合は、飲酒によって膵臓に炎症を起こしている可能性もあります。忘年会で脂っこいものを食べたりすると、膵臓での脂肪の分解が追いつかなくなるのです」

 ここで、消化の仕組みを再確認してみよう。食べた物は、まず<食道>を通過し、<胃>では胃酸で蛋白質などが分解され、次に<十二指腸>で<膵臓>や<肝臓>から分泌される膵液や胆汁によって蛋白質や脂肪が分解される。そして<小腸>で、さらに蛋白質やアルコールなどを吸収し、それらは<肝臓>で分解されたり、エネルギーに変換されたりする。そして最後に、<大腸>を通過しながら水分が吸収される。

 つまり、消化器官は、すべてつながっていて、常に関わり合って働いているということだ。お腹の痛みというシグナルは、決して胃腸だけのものではないのだ。では、どうしても暴飲暴食が増えてしまうこの季節に、これらの病気を避けるべく内臓をいたわるには、どうしたらいいのか。

 耳の痛い話ではあるが、最も重要なのは“お酒はほどほどに”ということだと、大久保氏は言う。「お酒が強い人と弱い人がいるのは、持って生まれた体質によりますが、日本人の約半数は、摂取したアルコールを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)をまったく持っていないか、持っていても、その働きが弱い人です」

 飲むとすぐに顔が赤くなるタイプの人は飲めない人であり、そういう人は飲酒による食道がんや咽喉頭がんの発がんリスクも高い。「“酒は百薬の長”といわれますが、日本人の適量とは日本酒なら1日1合、焼酎なら0.6合、ビールなら中瓶1本、ウイスキーならダブル1杯までです」

 しかし、飲める人が飲みに行ったら、その量を守るのは、まず無理だろう。「だから、少なくとも週に2日は飲まない日を設けるほうが現実的なのです。“休肝日”というのは、文字通り肝臓を休めるのですが、実は肝臓だけのためではないのです」

 大久保氏自身も酒は好きで、昔は毎日飲んでいたそうだが、「今はその習慣を変えて、宴会は週に2回まで、酒を飲むときは水分も摂るようにするなど、自分のルールを決めて守るようにしたのです。そうしたら、翌日の体調が全然違うことを体感しています」

 さらに大久保氏は、「ぜひ食の習慣を見直してほしい」と強調する。「休肝日を設けることと併せて、食生活の改善はとても大事です。食の欧米化によって、日本でもメタボが増え、大腸がんなど大腸の病気が増えましたが、その欧米では、むしろ昔の日本食を健康的な食事として手本にしています。我々も、塩分を控えめにした昔ながらの日本の家庭の食事に立ち返るべきです。そう考えると、宴席での食事も揚げ物や焼き肉よりは、居酒屋の和食メニューから選ぶとよいのではないでしょうか。キムチや納豆、ヨーグルトなどの発酵食品も取り入れれば理想的です」

 そして、もう一つ、暴飲暴食以外にも、この季節には、お腹の大敵が現れる。それがウイルスや細菌による急性胃腸炎の流行だ。

「感染すれば嘔吐や下痢が起きるので、飲みすぎ食べすぎによるものとの区別が難しいですが、嘔吐や下痢の回数や程度が診断の目安になります。軟便で1日2~3回程度の下痢であれば、飲みすぎや食べすぎによるものと考えられます。しかし、水のような下痢が1日に5~6回以上続いて嘔吐を伴うようなら、急性の胃腸炎と考えたほうがよいでしょう」

 特にノロウイルスの感染による胃腸炎は、症状が激しいので、脱水症状を起こさないよう注意が必要。「気をつけてほしいことは、ウイルスや細菌などによって起きた下痢は、体が悪い物を出そうとする排菌作用なので、下痢を無理に止めてはいけないのです。それを、いつもの飲みすぎの下痢だろうと決めつけ、市販の下痢止めを服用して止めてしまうことは危険なので、自己判断しないようにしてください」

 年明けは仕事始めに新年会と、まだまだ宴会の季節は続く。保険料も引き上げられる2017年こそは、内臓をいたわり、病院の世話になるような事態を招かないよう、上手に飲み、上手に食べて健康的に過ごしたいものだ。

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