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アメリカ・トランプ大統領VS中国・習近平国家主席「対立激化」で、日本はどうなる?

[週刊大衆2017年01月23日号]

アメリカ・トランプ大統領VS中国・習近平国家主席「対立激化」で、日本はどうなる?

「慣例なんて関係ねぇ!」と豪語する“壊し屋”と「他人のモノも俺のモノ」の“ジャイアン”がついに正面激突!!

「中国が米国海軍の探査機を盗んだ。前代未聞の行為だ。盗んだ探査機は返してもらわなくて結構だと中国に言うべきだ。そのまま持たせておけ!」

 1月20日の就任式をもって米国の第45代大統領となるドナルド・トランプ氏が、自身のツイッターで吠えた。昨年の暮れ、フィリピン・ルソン島の北西海域で、米国海軍測量艦が2機の水中探査機を回収中、中国海軍の潜水救難艦が小型ボートを出し、水中探査機1機を奪う事件が発生したことを受けての発言だった。

「これは、中国がトランプ氏の就任前に早くも“宣戦布告”したようなもの。極めて異例の事態で、南シナ海は一触即発の状態です」(全国紙政治部記者)

 南シナ海で起こった米国と中国の激突の先にあるものそれは、世界の覇権争いに他ならない。「経済力、軍事力、マンパワー……現代の2大超大国であるアメリカと中国。今後、両国が世界の覇を競っていくことは明白ですが、まず中国が目論んでいるのが、アメリカとの“太平洋分割管理案”なんです」(経済誌ライター)

 20日のトランプ氏の大統領就任式に、ゲストとして招待されている、JCU議長で元・米共和党全米委員会顧問のあえば直道氏が、こう続ける。「2013年に習近平国家主席が訪米した際、会談でオバマ大統領に対し、“太平洋は2つの大国にとって十分な広さがある”と発言しています。これは、“ハワイより西は中国のもの、東はアメリカのものとして太平洋を分割しよう”という横暴極まりない提案。グローバリズムを標榜するオバマ大統領も、まったく相手にしませんでした。そして、次期大統領のトランプ氏も、中国の覇権主義を認めるつもりはさらさらありません」

 対中強硬姿勢のトランプ氏に対し、探査機強奪という先制攻撃に出た習近平中国だが、当初、同国はトランプ氏の大統領選勝利を歓迎していたといわれる。「それは、トランプ氏が在日駐留米軍の撤退を含め、日米同盟の見直しを示唆していたからです。極東でのアメリカの軍事力が低下すること、それは、中国の念願であるアジアの覇権確保への大きな前進要因になります」(前出の政治部記者)

 ところが、昨年11月8日の米国大統領選挙後、しばらくして、風向きが変わった。前出のあえば氏が言う。「中国の読みが甘かったということですね。日本が在日米軍駐留経費の負担増を求められることはあっても、米軍が日本から引き揚げることはありません。日々、トランプ陣営と電話ミーティングをしていますが、日米同盟の堅持は、政権移行チームの決定事項です」

 そしてトランプ氏は、習国家主席にとって青天の霹靂と言える行為に踏み切った。40年弱にわたる米国の外交慣例を破り、昨年12月2日、台湾の蔡英文総統との電話会談を断行したのだ。

 政治部記者は「これは歴史的事件です」と言うが、中国共産党は、中国は世界に一つだけであり、台湾(島)は大陸に存在する中国の一部であるという考え=「一つの中国」を主張してきた。米国も、79年に中国と国交正常化が実現して以降、台湾と断交。「一つの中国」を認めてきたのだ。「トランプ氏は、その対中外交政策を、本気で白紙に戻そうとしています。それに対して中国は、我々日本人が想像する以上に動揺していますよ」(あえば氏)

 中国が米国海軍の探査機を盗んだのは、この報復の意味もあるのは間違いないだろう。新大統領就任後、トランプ氏と習国家主席、両者の対立が苛烈化するのは必至の情勢だ。

「激突する両者のどちらがアジア、さらには太平洋の覇権を握るのか。そのカギを握るのがロシアのプーチン大統領です」と言うのは、シンクタンク関係者。ロシアは、クリミア併合問題で米国やEUなどから経済制裁を受ける一方で、中国との貿易に活路を見出している。「確かに今のところ、中露両国がタッグを組んでいるように見えますが、トランプ政権の誕生で“ロシアの中国離れ”が進むとみられます」(前同)

 ロシアの国営メディアは大統領選中、あからさまに民主党候補のヒラリー・クリントン氏を批判。大統領選挙後は、プーチン大統領が早々とトランプ氏に電話をかけ、祝意を伝えている。そのプーチン大統領の祝意へ応えるかのようにトランプ氏は、プーチン大統領と親交が深い米石油大手エクソン・モービル会長兼最高経営責任者のレックス・ティラーソン氏の次期米国国務長官起用を決めた。

「プーチン大統領としては、国内経済を停滞させている制裁解除を、なんとか実現させたいというのが本音。12月20日、オバマ政権がロシアへの追加制裁に踏み切りましたが、これは、オバマが最後に自身の存在感を示したかったためです。一方、次の国務長官候補であるティラーソン氏は、自身のビジネスとの絡みもあり、北極海の石油開発に影響を与えている制裁に反対の立場なんです」(同)

 あえば氏が、こう続ける。「もちろん、そう簡単に、制裁が解除されることはないと思います。しかし、トランプ氏は制裁解除という外交カードを巧みに使い、ロシアと中国との分断を図ることも可能です」

 そう考えると、日本の役割はますます重要になる。昨年暮れの日露首脳会談で北方領土問題は進展せず、3000億円の経済援助だけ引き出されて「安倍外交の敗北」と野党に批判されたが、極東事情に詳しい政治記者は、こう言うのだ。

「そもそも、ロシアの対日最大の外交カードである北方領土が、そんな簡単に戻ってくるわけがない。それを抜きにしても、大きな一歩であったことは間違いないですね。長期的にみると、日露両国が平和条約締結へ向けて前進したと言えます。事実、今回の日露交渉に、中国政府は相当な焦りを見せているんです」

 日露の接近、それは日米露3国が足並みを揃えて中国への包囲網を築くことにもつながっていく。「だが、中国もやられっ放しではない。習国家主席は副首相級をメキシコへ派遣し、両国の関係強化を約束させました。ご承知の通りメキシコは、トランプ氏が壁を作るとまで言って、不法移民問題で批判した国。中国はそのメキシコを抱き込み、アメリカの軒先に、強烈な楔を打ち込むことに成功したんです」(前同)

 他にも中国は、「バイバイ、アメリカ」と米国との決別宣言をしたフィリピンの“狂犬”大統領のドゥテルテ氏にも急接近し、さらに、水面下でも不穏な動きを見せている。

「日米露の3国に台湾が加われば、包囲網はより強固になる。そこで中国は、その台湾を牽制しようとしているんです。西アフリカの島国サントメ・プリンシペは、97年に台湾を正式な国家として承認し、中国との外交関係を絶ってきました。だが、このほど同国が、20年に及ぶ友好関係を破棄。台湾との国交断絶を決めたんです。これに中国が関与しているのは疑いようはなく、まもなく、サントメ・プリンシペと中国の国交が樹立すると見られています」(同)

 トランプ大統領就任をきっかけに、世界中を巻き込んだ米中の覇権争い。当然、日本にとって猶予ならない事態が近づいている。

「あってはならないことですが、窮鼠猫を噛むの喩え通り、いずれ追い込まれた習近平氏が世界のどこかで戦端を開くことになるかもしれません。アジアの覇権を狙う中国から見て、地勢的に尖閣諸島や沖縄は、その危険性ゼロとは言えないでしょうね」(あえば氏)

 緊迫の南シナ海情勢はほんの前触れ。2017年、トランプ政権誕生で“新たな事態”が起こる……!?

アメリカ・トランプ大統領VS中国・習近平国家主席「対立激化」で、日本はどうなる?

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