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認知症の原因は“脳のゴミ”!? 今から始める「認知症予防」

[週刊大衆2017年03月13日号]

認知症の原因は“脳のゴミ”!? 今から始める「認知症予防」

 数年後にその患者数が700万人を超えるといわれる国民病も、生活を見直せば、防ぐことができるのだ!

 今年の3月12日から一部が改正される道路交通法。その改正項目の一つが、70歳以上の高齢運転者に関する交通安全対策の規定だ(図参照)。

「具体的には、高齢運転者が運転免許を更新する際、75歳未満の人は、60分間の実車指導を含む約2時間の『合理化講習』を受講するだけですむように簡略化されるのですが、75歳以上になると、最初に約30分の『認知機能検査』を受けることが義務づけられるのです」(全国紙社会部記者)

 75歳以上の場合でも、認知機能低下がないと判断されれば、75歳未満の運転者と同じ合理化講習に進むのだが、「もし、認知機能低下の可能性があると判断された場合は、さらに60分の個別指導を加えた『高度化講習』を受講する必要があるのです」(前同)

 さらには、検査で認知症のおそれがあると判断された場合は、「当日に高度化講習を受けたうえで、後日『臨時適性検査』を受けるか、医師の診断書を提出しなければなりません。そこで認知症と診断されれば、免許取り消し、または免許停止になってしまいます」(同)

 この法改正が行われた背景には、昨今の高齢運転者による交通事故の増加という社会問題がある。テレビのニュースなどで、認知症の高齢者が高速道路を逆走する事故が続けて報じられたことは記憶に新しい。

 実際には、高速道路を逆走して起きた死亡事故の中で、運転者が認知症の高齢者だった例は1割に満たないが、逆走してしまった運転者の年齢分布を見ると、約7割が65歳以上だったというデータもある。「死亡事故のような重大な事故ではなくても、高齢のドライバーがブレーキとアクセルを踏み間違えてバンパーをぶつけた、ハンドル操作を誤ってガードレールにこすったなどの軽微な事故は多発しています。認知症になると、判断力の低下や、時間や場所などが分からなくなる見当識障害が起きるため、やはり車の運転をすることは危険なのです」(医療専門誌記者)

 しかし、今回の法改正にも、まだまだ問題点が多いのだという。「更新時に実施される認知機能検査は、アルツハイマー型認知症の人を判別することはできますが、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症の人はスルーしてしまう可能性が大きいのです」(前出の社会部記者)

週刊大衆2017年03月13日号より

 認知症にはいくつかの種類があり、その中で最も患者数の多いのが「アルツハイマー型認知症」だ。患者全体の約6割を占める。今回の法改正で設けられた検査は、そのアルツハイマー型の認知症をメインに想定したものらしく、他の約4割の認知症は見つけられない可能性があるというのだ。

「国内の認知症患者数は、2012年に462万人に達していました。その後も年々増加しており、厚生労働省の推計では、2025年には700万人を超えるといわれています」(前同)

 そう考えると、4割でも相当な数になる。「また、免許更新の時点では認知機能の低下がみられなくても、3年後の次の更新を待たずに認知症を発症する可能性は十分にあり、その状態のまま運転を続けることになります。これでは、“年を取ったら免許は返納しろ”ということにつながりかねませんよね」(同)

 認知症は高齢になるほど増える病気。車の運転を年齢で制限することも、ある程度は仕方がないとも思えるが、車がなくては生活できない人も多いはずだ。また、車の運転だけではなく、認知症はあらゆる面で生活に支障をきたす。なんとか認知症を遠ざける術はないものだろうか。そこで今回は、医学的に解明されて明らかになった認知症予防の最新の知見を検証したい。

「認知症は、これまで防ぐことができない病気といわれてきましたが、近年は病気のメカニズムも少しずつ解明されつつあり、予防できる時代になりました。特に、圧倒的に患者数の多いアルツハイマー型認知症については、原因物質もほぼ特定されています」 こう話すのは、認知症の専門医及び指導医で、東京医科大学病院高齢診療科の教授である羽生春夫氏だ。

「アルツハイマー型認知症の原因物質の正体は、脳の神経物質から放出されるアベータミロイドβというタンパク質です。症状が現れる20年以上前から脳内にたまり始め、老人斑というシミになって蓄積します。最近、これだけではなく、リン酸化タウというタンパク質の蓄積も、アミロイドβと密接に関わっていることが明らかになってきました。それらが作用して神経細胞を死滅させ、脳の萎縮が進むことで認知症が起きるのです」(羽生氏=以下同)

 では、認知症の原因となる、これらの“脳のゴミ”の蓄積を防ぐには、どうしたらよいのだろうか? 「アルツハイマー型認知症は“脳の生活習慣病”とも呼ばれます。生活習慣病全般と密接な関係がありますが、特に糖尿病は認知症の原因であり、悪化因子です」

 私たちの体内では、膵臓から分泌されるインスリンが、脳の栄養源であるブドウ糖の働きをコントロールしている。「実は、使用済みのインスリンが分解される際、脳のゴミであるアミロイドβも同じ酵素によって分解されます。ところが、血糖値が高い状態が続くと、インスリンが過剰に分泌され、その結果、アミロイドβの分解が追いつかなくなって、蓄積されていくのです」

 乱れた生活習慣が脳の中にゴミを蓄積させ、認知症の発症を招くのだ。「逆に言えば、悪い習慣を少しずつ見直していけば、認知症を遠ざけることが可能です」

 認知症を遠ざけるための暮らし方の工夫をリストアップして、羽生氏に解説してもらった。まずは、生活習慣病を予防しながら脳に良い栄養を送り、脳のゴミがたまらないようにするための食生活のコツから紹介しよう。

 食事は1日3食、規則正しく食べること。「朝食抜きや不規則な食事によって血糖値が乱高下すると、糖尿病を招くだけでなく、脳の神経細胞にもダメージを与えます」

 食べ過ぎも禁物だ。腹八分目の量を、よく噛んで食べることを心がけたい。「栄養過多はメタボのもと。また、噛むことによって脳に良い刺激が伝わります」

 虫歯や歯周病で歯を失わないために、歯をよく磨くことも大切だ。「特に歯周病は生活習慣病との関連も深いため、口腔ケアには注意しましょう」

 節酒・禁煙を守ることも、忘れてはいけない。「多量のアルコールを飲み続けると脳の前頭葉の萎縮が進み、最終的に“アルコール性認知症”を引き起こします。タバコもアルツハイマー型認知症の発病を促すことが分かっています」

 良質の栄養を送り込んだら、次は脳を鍛える番だ。高齢になっても動ける体を維持するためには、まず、筋肉の量を増やすこと。「若いうちはメタボにならないことが重要ですが、65歳を過ぎたら食べ方を切り替えます。筋肉の材料になる肉や魚、大豆製品などでタンパク質をしっかり摂ったら、食後30~120分以内にストレッチ運動や軽い筋トレなどを行って、アミノ酸が効率よく合成されるのを促しましょう」

 そして、軽い運動を継続することは、認知症になるのを予防するともに、万一なってしまった場合も、進行を抑える効果がある。「体を動かすと、思考や意欲をつかさどる前頭葉の機能が高まるといわれています。また、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を続けることで、脳のゴミを掃除する物質が増えることも分かっています。しりとりをしながらステップを踏むなど、簡単な頭のトレーニングをしながら体を動かす“コグニサイズ”は、特に効果があります」

 運動だけではなく、頭を使うことも重要だ。脳は使わなくなると、どんどん衰える。生きがいや趣味を持つことや、周りの人とのコミュニケーションを大事にすることも忘れてはいけない。「定年退職して一気にボケないよう、50代までに生涯の趣味になるものを見つけてください。仲間と楽しめるものなら理想的です」

 鍛えたあとは、脳をいたわろう。十分に睡眠を取ることが認知症を遠ざける。「最適な睡眠時間は“7時間”です。私たちが眠っている間に、脳の中では認知症の原因になる脳のゴミを掃除してくれています」

 最後に羽生氏が加えたのは、頭をぶつけないこと。「大ケガではなく、コツンとぶつけた程度でも、脳の中で炎症が起きて脳のゴミがたまりやすくなります」

 つまり、脳には良質な栄養を送り込み、大切にいたわりつつ、適度に鍛えることがポイントなのだ。ちょっとした生活の見直しで、認知症は予防できる。今からこれらを守り、超高齢になっても運転免許を更新できるくらい、心身ともに健康でいよう!

認知症の原因は“脳のゴミ”!? 今から始める「認知症予防」

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