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石原慎太郎元都知事「おとぼけ連発」百条委員会の行く末

[週刊大衆2017年04月10日号]

石原慎太郎元都知事「おとぼけ連発」百条委員会の行く末

 覚えてなければ、それでいいのか!? 都民ならずとも怒りが湧いた答弁の数々。このままでは、終わらない!

「記憶にない」 3月20日、東京都議会の百条委員会に出席した石原慎太郎元都知事(84)は、終始、こう繰り返した。「築地市場の豊洲移転問題について、新事実が出るかと注目されましたが、蓋を開ければ、3月3日に石原氏が開いた記者会見での主張と、変わらない内容でした」(全国紙政治部記者)

 豊洲移転の決断について石原氏は、「当時のピラミッドの頂点にいた私が決裁をした。土壌の問題については“大丈夫だ”と言うので決裁した。その責任は認めます」と、最高責任者としての責任は認めたものの、当時の都庁幹部らが“重要事項について、知事の了解を得ていた”と証言したことについては、「覚えていない」「担当者に一任していた」と逃げの一手。

「1999年に当時の東京ガスの上原英治社長と面会したとされる件については、“いろんな人と会っているので、詳細には覚えていない“と述べ、土壌汚染対策の費用負担についても“担当者に一任するしかなかった。詳細な記憶がない”と、とぼけ続けました。何より、証人喚問の冒頭で告白した、“すべての字を忘れました。ひらがなさえも忘れました”という脳梗塞の後遺症も、責任逃れの口実だとしか思えません」(前出の政治部記者)

 また、3時間を予定していた質疑時間は、石原氏の体調を考慮し、1時間に短縮。各会派の質問時間が5~9分とかなり短くなったことも真相の究明を阻んだ。

「“記憶にないものはない”と開き直ったあげく、ひたすら持論を展開。“人間の英知の結晶である科学が、風評の前に負けるのは文明国家として恥だ”と熱弁し、小池都知事に対しては“速やかに移転を決断すべきだ”“不作為の責任が問われる”などと石原節を連発しました。そうこうしているうちに、質問者は時間切れに。追及から逃れる時間稼ぎとしか思えませんでした」(前同)

 これには、小池百合子都知事も「責任の所在であるとか、これまでの会議の出席や(土壌汚染対策の)瑕疵担保責任については、前回の記者会見をなさったときと(比べて新しい話は)、あまり出ていなかったのではないかと思います」と、あきれ顔でコメント。こうした百条委員会の空転ぶりを、政治評論家の角谷浩一氏はこう分析する。

「そもそも百条委員会が実現した背景には、豊洲市場の土地購入を巡り、石原氏の責任を求める住民訴訟が関係しています。都側は“石原氏に責任はない”という姿勢でしたが、これを転換。2月に小池氏側は、弁護士を入れ替えるなどして、石原サイドに揺さぶりをかけました。それが効いて、都議会自民党が小池氏側に“抱きつき”、自分たちの判断を見直すと、百条委員会へ発展したのです。ただ、喚問の場での自民党の質問は石原氏寄りでしたが……」

 そもそも、当時、石原都政を支えていた自民、公明両党が、議会としてのチェック機能を果たさなかったことも、問題を引き起こした一因。追及の手を弱めてしまうのは無理もない。

「一方の野党も、選挙を意識してかバラバラでしたよね。野党が共闘して質問を一本化するなど、鋭い内容にする手法も取れたのに、それをしなかったのは、選挙を意識して各党の思惑が一致しなかったのでしょう。ゆえに証人喚問は、いわばセレモニーに過ぎませんでした」(前同)

 一方の石原氏は老獪。「言質を取られることはさせませんでしたよね。今後の裁判を考え、公式の場に出席した事実を積み重ねたのでしょう」(同)

 また、元民主党議員の川内博史氏は次の点を指摘する。「今回の証人喚問ですが、なぜ汚染が分かっていたはずの豊洲が当初、土壌汚染対策法の指定区域から外れたのか、その点に質問がなかったことが不思議です」

 区域外になるということは、“豊洲は調査せずに市場として使用できる”ということを意味する。それに対し、川内氏は環境省に掛け合い、豊洲を汚染対策法の指定区域にさせたのだ。

「地下水のモニタリング調査では土壌汚染が確認されているため、民主党政権時代は、農水大臣は豊洲問題に対し“地下水問題がある限り、豊洲を中央卸売市場として許可しない”と明言しています。石原、浜渦両氏は土壌汚染対策法において、豊洲が指定区域から外れたのを知っていたのか、否か。この最も重要な点が明らかにされなかったのは、残念でなりません」(前同)

 数々の疑問を残したまま終わった百条委員会。このまま逃げ切れるのか。

「自民党以外の都議会の各会派からは、再度、石原氏への証人喚問を求める声が上がっています。また、4月4日には都庁元幹部3人の証人喚問が予定されています。そのうちの一人、元都知事本局長で現練馬区長の前川燿男氏は、東京ガスとの交渉役と名指しされた人物。もう一人は、東京ガスの交渉記録で、“都が安全宣言しないと地価が下がる”などと東京ガス側に伝えたとされる、元都政策報道室理事の赤星経昭氏。新たな事実が語られるか注目です」(民放記者)

 さらに、石原氏の責任を問う住民訴訟も控えている。「東京都が、“石原氏に責任はない”というこれまでの主張を、正式に見直すかどうかは、4月27日の進行協議で明らかになる。原告は石原氏の証人尋問を求めていますが、これまで東京都は、石原元知事の証人尋問は不要という意見でした。しかし、それについても方針転換する可能性があります」(前同)

 そのうえ、石原氏寄りだった都議会自民党も態度を変えつつある。政治評論家の鈴木哲夫氏はこう語る。「百条委員会についても“自分たちの過去の過ちを検証する”と前向きな意見が飛び出したほどです。小池氏に半ば同調することで、都議選の対立軸をなくす作戦ですね」

 また、気になる小池知事の出方について、前出の角谷氏は次のように語る。「7月2日の都議会選挙まで約3か月あります。その間、都議会の各党や国政も絡めて、さまざまな思惑が交差していくでしょう。小池氏が豊洲を争点に、出直し選挙をぶつけ、都議会選挙とダブルという手もあります。その場合には、国政側は総選挙をぶつけ、小池劇場を薄めるという手段に打って出る可能性もあります。一波乱、二波乱あるはずですよ」

 だが、肝心なのは豊洲問題への結論だ。前出の川内氏は、移転の危険性をこう指摘する。

「豊洲の汚染がなくなることはないと思います。私が環境委員会で追及した当時、東京都の豊洲問題の専門委員会の委員長は“(豊洲で検出されたシアンは水に溶けると青酸カリになるので)マグロに微量の青酸カリが付着する”と発言していますし、当時の環境大臣も、それを認めました。こうした場所に生鮮食品を扱う中央卸市場を持っていくのは、後世の恥です。速やかに豊洲を諦め、築地の再開発に力を注ぐべきです」

 また、前出の鈴木氏は豊洲の今後を次のように見る。「調査結果が4月に改めて出ます。その結果、有害物質の値が変わらず高ければ、豊洲移転の可能性は極めて低くなるでしょう」

 さらに、「一部では、移転の可否を住民投票で決めるという話もあります。しかし事情や背景、決定までのプロセスが分からないままでは、都民は冷静な判断ができませんよ」(前出の角谷氏)

 女帝と元覇王の争いの場となり、ますます混沌とする豊洲移転問題。光明が差す日はいつか。

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