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プロ野球で「勝敗を背負う」4番打者、その帝王学【二宮清純の「スポーツ一刀両断」】

[週刊大衆2017年04月24日号]

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 長嶋茂雄は名コピーライターでもあった。引退試合で飛び出した「我が巨人軍は永久に不滅です」はプロ野球ファンのみならず、多くの国民の記憶に深く刻み込まれている。2度目の監督時代の1996年には「メークドラマ」なる造語で選手たちを鼓舞し、最大で11.5ゲームあった首位・広島との差を引っくり返し、ペナントレースを制した。

 愛弟子・松井秀喜を主砲に育てるための「4番1000日構想」なるフレーズも、ミスターのお気に入りだった。その一方で、FA制を利用して落合博満、清原和博らを獲得。松井が名実ともに「4番」に定着したのは、入団8年目の2000年からだ。「1000日じゃなく2000日構想ですよ」と松井は苦笑を浮かべていた。

 実力がありながら、なかなか4番を打たせてもらえなかった頃の松井に、「メジャーリーグには3番最強説もある」と水を向けると、「そうは言っても、ここは日本ですから」と怪訝な表情を浮かべた。公の場では「(4番は)意識していない」と言いつつも、心のどこかにわだかまりがあったのだろう。

「3番はそれなりの成績を残せば認めてもらえるが、4番はチームの勝ち負けまで背負わなければならない」 そう語ったのは現阪神2軍監督の掛布雅之である。

 1985年、阪神は強打を原動力に21年ぶりのリーグ優勝を果たした。MVPは3冠王の3番ランディ・バース。彼を支えたのが「4番掛布」だった。「僕が4番でにらみをきかせていなかったら、ランディはあれだけ勝負してもらえなかった」

 連覇を狙う広島の4番は、言うまでもなく昨季のMVP新井貴浩である。40歳になった今も意気軒高だ。「いずれは鈴木誠也を4番に」という声がチームにはある。

 入団4年目の昨季、打率3割3分5厘、29本塁打、95打点と大ブレークした。しかし、4番はまだ早い。今季は5番という打順で新井の背中を目に焼き付ける。すなわち、それが「帝王学」 である。

二宮 清純 (にのみや せいじゅん)
スポーツジャーナリスト。(株)スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」「プロ野球“衝撃の昭和史”」「最強の広島カープ論」「広島カープ 最強のベストナイン」など著書多数。スポーツ情報サイト「SPORTS COMMUNICATIONS」:http://www.ninomiyasports.com/

プロ野球で「勝敗を背負う」4番打者、その帝王学【二宮清純の「スポーツ一刀両断」】

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