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散骨は合法!? 正しいやり方と、故人にあった方法を学ぶ

散骨は合法!? 正しいやり方と、故人にあった方法を学ぶ

 日本では人が亡くなったら火葬し、遺骨を骨壺に入れて先祖代々の墓に納めるのが一般的である。そして遺族は喪が明けたあとも、命日やお盆やお彼岸などに墓参りして末永く供養する。しかし少子高齢化や核家族化といったライフスタイルの変化などで、最近では供養方法も一様ではなくなってきている。今回は新しい葬儀方法の一つといえる「散骨」について、調査してみた。

■お墓には入らない!? 「散骨」という選択肢

●散骨とは

 散骨(さんこつ)とは、火葬された遺骨をこまかく砕いて、自然の中にまく自然葬の一つである。自然葬とは自然にかえることを願って遺骨を墓地に埋葬しない葬法のことで、広義には土葬や風葬、水葬、鳥葬なども含む。しかし現代の日本で自然葬といえば、散骨が一般的である。

 散骨場所には、海や山などが選ばれることが多い。陸地の場合は墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬もある。またすべてを散骨するのではなく、一部を埋葬して一部を散骨するなど、遺骨を分けて供養する分骨スタイルを選ぶ人も増えてきている。

●日本での散骨の歴史

 そもそも、日本で一般庶民がお墓を持ち、その中に納骨するようになったのは、檀家制度が普及した江戸時代のことである。それ以前は自然葬が普通であった。日本で再び自然葬、散骨が注目されるようになったのは、1990年代に入ってからのことだった。

 それまで違法と思われていた散骨だが、法的に問題がないことを確信したNPO法人「葬送の自由をすすめる会」が、1991年に神奈川県の相模灘で海洋散骨を行ったのである。これは、死んだら墓に入らなければならないという固定観念を打ち砕く事件として、社会的な反響を巻き起こした。

 以降、現在に至るまで少しずつ世間での認知が進み、取り扱う業者が増えたことや、社会通念が変化してきたこと、墓地の取得や管理といった問題が表面化してきたことなどが相まって、死後の散骨を選択する人が珍しくなくなってきた。

■合法か非合法か!? 「散骨」にまつわる法律

 散骨に関して問題になる可能性がある法律は2つ存在する。しかし、1990年に散骨の可否が世間の注目を集めたとき、関係省庁が新聞に見解を掲載している。

●刑法190条

死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

→「刑法190条の規定は社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから、葬送のための祭祀(さいし)で節度をもって行われる限り問題ない」(法務省)

●墓地、埋葬等に関する法律(以下、墓埋法)

第4条1項:埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。

→「墓埋法は散骨のような葬送の方法については想定しておらず、法の対象外で禁じているわけではない」(厚生省生活衛生局)

 簡単に結論をいうと、現行法では散骨に違法性はない。

■実はあの人も!? 散骨された有名人

 散骨したことを遺族が公表している有名人には、このような人々がいる。

●アルベルト・アインシュタイン

 ドイツ生まれの理論物理学者。特殊相対性理論、一般相対性理論などで知られる20世紀最大の物理学者。1955年、76歳没。アメリカの川に散骨。

●ヴィヴィアン・リー

 映画『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ役などで知られるイギリスの女優。1967年、53歳没。イングランドの湖に散骨。

●ジャニス・ジョプリン

「Move Over」「Summer time」などのヒット曲で知られる、米国出身の女性ロックシンガー。1970年、27歳没。アメリカ上空から太平洋へ散骨。

●ジョージ・ハリスン

 ザ・ビートルズのメンバー。リードギタリストとして活動し、解散後はソロ活動を行った。2001年、58歳没。ガンジス川に散骨。

●フレディ・マーキュリー

「ボヘミアン・ラプソディ」「伝説のチャンピオン」などのヒット曲で知られるロックバンド、クイーンのボーカリスト。1991年、45歳没。フレディの遺志により、遺体は遺族により火葬され散骨されたが、その場所は公表されていない。

●リヴァー・フェニックス

 映画『スタンド・バイ・ミー』への出演などで知られる米国の俳優。1993年、23歳没。遺体はフロリダ州で火葬され、遺灰は空中散布された。弟のホアキン・フェニックスと妹のサマー・フェニックスは、俳優として活動中。

●マハトマ・ガンディー

 インドの弁護士で宗教家、政治指導者。「非暴力、不服従」を提唱し、インド独立の父として知られる。1948年、78歳没。死後、国葬が行われ、遺灰はヤムナー川、ガンジス川、南アフリカの海にまかれた。

●ジャック・マイヨール

 フランスのフリーダイバー。人類史上初めて素潜りで100メートルを超える記録を樹立。映画『グラン・ブルー』の主人公のモデルとしても知られる。2001年、74歳没。遺骨はトスカーナ湾に散骨された。

●石原裕次郎

 昭和を代表する俳優、歌手でありマルチタレント。兄は政治家で作家の石原慎太郎。1987年。52歳没。兄の慎太郎が「海を愛していた弟は、海にかえしてあげたい」と散骨を計画したが、当時の法解釈では認められずに断念。日本では1991年から散骨が認められるようになった。

●横山やすし

 漫才コンビ「横山やすし・西川きよし」として活躍した漫才師。破滅型天才芸人として知られ、ボートレースに傾倒したことも有名。長男は俳優の木村一八。1996年、51歳没。宮島競艇場(現:ボートレース宮島)に、遺骨の一部が散骨された。

●hide

 X JAPANのギタリスト、ミュージシャン。ソロのhide名義でも活動し、LUNA SEAやGLAYを発掘した。1998年、33歳没。遺骨の一部はロサンゼルスの海に散骨された。

●立川談志

『笑点』(日本テレビ系)を立ち上げ、初代司会者を務めた落語家。1983年に落語立川流を創設し、家元となった。2011年、75歳没。長女の手で、遺骨の一部がハワイの海に散骨された。

●安岡力也

「シャープ・ホークス」のボーカルとしてデビューし、その後俳優として活動。『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)に「ホタテマン」として出演したことでも知られる。2012年、64歳没。2013年に長男らによって、ハワイの海に散骨された。

■知っておきたい! 常識的な「散骨」のやり方と費用

 散骨のやり方は、業者を通して行う方法と個人で行う方法の2通りに分けられる。しかし、いずれにしても散骨する前に済ませておくべき常識的な手順がある。

●散骨の手順

 散骨にあたって、特別な許可などはいらない。しかし、亡くなったら役所に「死亡届」を提出し、火葬するために必要な「火葬許可証」を交付してもらう必要がある。火葬されると、火葬場が「火葬許可証」に必要事項を記入して返してくれるため、散骨するまで遺骨と一緒に保管しておこう。

●個人で散骨する

 個人で散骨するメリットは料金がかからないことであるが、トラブルにならないよう節度やマナーを守って行う必要がある。最低でも下記の点には注意したい。

□遺骨とは分からない大きさに粉骨する

□私有地に散骨しない

□水源地や漁場、養殖場、海水浴場の近くは避ける

□フェリーや遊覧船から散骨しない

 遺骨の粉骨作業だけは業者に依頼する人も多い。遺骨を郵送するとサラサラの粉末にして返してくれる業者がある。料金は約1万円から。

●業者を通して散骨する

 最近では散骨を取り扱う専門業者が増えてきた。しかしきちんとした法整備が成されていないこともあり、悪質な業者も少なくない。格安料金や調子の良い言葉などにつられて、大切な遺灰を粗末に扱われないようにしたい。

■散骨の主な種類

●海洋散骨

 業者による最もポピュラーな散骨は3種類の海洋散骨である。

□委託散骨

 代行散骨とも言う。遺族は船に乗らず、業者に遺灰を預けて散骨してもらう。散骨の日にちは選べないが、散骨した場所の証明書や写真などがもらえる。料金は約2万円から。

□合同散骨

 何組かの遺族が同じ船に乗り合わせて、一緒に散骨を行う。料金は約5万円から。

□個人散骨

 チャーター散骨ともいう。船を貸し切ってプライベートで散骨を行う。天候によっては出航できないこともあるが、それ以外はかなり自由なプランを組むことができる。料金は約8万円から。

●陸地散骨

 業者や地域、場所にもよるが、近隣とのトラブルや風評被害を避けるため、専用散骨場に散骨されることが多い。樹木葬は墓地の敷地内で行われるのが大半で、寺院の敷地内に散骨する寺院散骨もある。料金は約5万円から。

●空中散骨

 ヘリコプターなどから散骨する。成層圏で散骨する風船(バルーン)葬や、ロケットに搭載し打ち上げて宇宙空間で散骨する宇宙葬などもある。料金は約20万円から。

■トラブルを防ぐ散骨マナーQ&A

 最後に、散骨に関して気になるその他のことを一気に解決しよう。

Q:宗教や宗派は関係あるのか?

 特にないが、散骨するなら故人の遺志はもちろん、供養をする側である家族の気持ちもよく考えたい。墓を作らない、墓には入れないという考えで、すべての遺灰を散骨すると、何も残らないため、喪失感が増すこともある。

 また、葬儀を行う場合は、菩提寺の住職などに連絡して来てもらうかどうかを検討したほうがよい。散骨に反対の立場をとる聖職者は決して少なくない。宗教的な供養をしない時は戒名や位牌、仏壇などもなしということになる。

Q:海外でも散骨できるのか?

 海外でも散骨できるが、国や地域ごとに法律やルールがあるため注意が必要だ。たとえば、ハワイで散骨するには、法律で「海岸線より3マイル(4.82キロメートル)以上沖合でないと海洋葬を認めない」と定められている。違反すると罰則が科せられるため、必ず専門業者に頼もう。なお、遺灰は手荷物として飛行機内に持ち込むことができるが、他の乗客の目に触れないような配慮をしたい。

Q:ペットの遺骨なら庭などに散骨していいのか?

 刑法や墓埋法が定めるのは人間の遺体や遺骨である。犬や猫などペットのものに関しては規定がないため、どこにどのように散骨しても基本的には問題ない。とはいえ、やはり良識に照らし合わせてトラブルを招きかねない場所や私有地への散骨は控えるべきだろう。

■まとめ

 現代の日本における散骨の歴史はそれほど長くなく、法律も整っているとはいえない。“自称プロ”の専門業者とトラブルになることもある。散骨に関する規制を定めた条例を制定している自治体も存在する。それでも散骨という葬送を選ぶということであれば、しっかりした下調べと良識ある判断のもと、故人が自然に還れることを祈って粛々と行いたい。

散骨は合法!? 正しいやり方と、故人にあった方法を学ぶ

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