■世界遺産・富士山をめぐる戦い
そんな北陸3県の争いにも負けていないのが、中部地方の、山梨県と静岡県。世界遺産・富士山をめぐる、あくなき戦いだ。
「富士山頂にある気象観測所や郵便局などの施設は、すべて静岡県富士宮市ですから」(静岡県・70代男性)
という声に対しては、
「山梨県には、観光名所の富士五湖や、1000円札の裏側に印刷された“逆さ富士”が見られる場所がある」(山梨県・60代男性)
と、両者一歩も譲らず。前述の十和田湖のような明確な境界線もないため、いまだ解決する気配はない。
■関西人同士が仲たがい
さて、ここからは西日本に突入だ。江戸時代以前、長らく日本の都が置かれていたのが近畿地方。それだけに、都の座を奪われた“東京憎し”の気持ちで結託しているのかと思いきや、
「大阪よりも京都のほうが歴史も品格も上。関西人と、ひとくくりなのは嫌です」(京都府・40代女性)
と、近畿圏内でも仲たがいをするケースが多いようだ。京都府出身の木原氏も、
「大阪の人はお笑い文化が原点にあって、会話のテンポが速い。対して、京都の人は、会話の間を広く取って、マイペースに話す。同じ関西人でも、各県民の性格は水と油なんですよ」
ちなみに、『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』で、さんざんな扱いを受けた滋賀県はというと、現実世界でも変わらず、
「かつては、“滋賀作(滋賀の田舎者)”なんて呼ばれていました。でも、滋賀の琵琶湖は、近畿地方の水がめですからね。何か言われたら、“琵琶湖の水、止めたろか!”って返します」(滋賀県・50代男性)
●食文化の違い
豚肉に薄い食パン……東の食は貧乏くさい!? そんな関西人たちも、東西の食文化の違いには共通の思いがあるようだ。中でも、多く寄せられた意見が、
「東日本はカレーや肉じゃがに豚肉を入れるんですよね? 貧乏くさい(笑)。西日本は、どちらも牛肉ですよ」(兵庫県・60代男性)
また、意外なところでは、食パンの厚さが東西で異なるという。
「関西は5枚切りが主流です。関東へ引っ越したら、スーパーの食パンコーナーに、うっすーい8枚切りしか並んでいなくて驚きました」(大阪府出身、千葉県在住・60代女性)
なぜ、こうなったのか?前出の椿氏によると、
「一説では、関東は明治の初めに、あんパンが登場し、食パンが“おやつ”として根づいた結果、サクッと食べられる薄切りに。対して、関西は、神戸の居留地などにいた外国人の影響で、“食事”として根づき、ボリュームのある厚切りが好まれたといわれています」