識者も注目のリスク軽減食品

これまで紹介したように、がんを導きかねない食材がある一方で、がん予防を期待できる食材もある。岡田氏がまずオススメするのは、カロテン、ポリフェノール、カテキン、ビタミンCといった、がんの原因になる物質を中和する抗酸化物質が豊富に含まれているリンゴだ。
「野菜や果物を食べるようよくいわれるのは、抗酸化物質が含まれているからですが、中でも効果が高いといわれるのがリンゴなんです。ただし、その大切な成分の多くが皮と、そのすぐ下の層に集中しているので、皮ごと食べるのがポイントです」

また、1日に5杯以上飲む人は、飲まない人に比べて、肝がんリスクがわずか4分の1という論文が出て以降、注目されている飲み物がコーヒーだ。実は、その詳しい原因はよく分かっていないのだが、ペーパードリップ式でコーヒーを淹(い)れればより効果的だという。
「コーヒー豆には悪玉コレステロールを上昇させ、結果的にがんリスクを高めることになるカフェストールという苦味成分が含まれているんですが、ペーパードリップであれば、この成分が紙に吸着されて、除去してくれるんです」(前同)

生田氏が推奨するのは、ラズベリーやストロベリーなどのベリー系果実だ。その理由は、エラグ酸という有効成分が大量に含まれているからだという。
「がん細胞は、自らの周辺に血管を作って、そこから血液と酸素を得て増殖します(血管新生)。エラグ酸はその現象を抑えることが明らかになっているんです」

リンゴ、コーヒー、ベリー系と、いずれも手軽な食材ばかりだが、生田氏はさらに身近なモノの効果についても話す。
「水です。ビタミン、ミネラルなどの栄養素をとらなくても、私たちはしばらくの間、生きられますが、水なしでは数日の間に死んでしまいます。これは、水和(水が細胞を満たすこと)が代謝と解毒に欠かせないからなんです」

普段、水の代わりにお茶やジュースなどで水分を補っている人も多いだろうが、
「これらには糖分や香料などが溶けている分、老廃物を溶かす力は、ただの水にかなわないんです」(前同)

生田氏によれば、起床時に、コップ1杯の水を飲むのが効果的だそうだ。
また、食べ方でも納豆やサラダ、焼き魚など"食材がひと目で分かるもの"は、がん予防に有益だという。
ただし、すでに述べたように、形が分かっても、加工した食品や白米は、これに当てはまらない。さらに、
「調理時に使う油を、アマニ油やオリーブ油にすれば、炎症を促進して、がん細胞の増殖や転移を促すリノール酸を避けることができます」(同)

もはや、誰が発病してもおかしくない、がん。そのリスクを下げるためにも、毎日の食生活に、ぜひ気を配っていただきたい。

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