なんと恐ろしい世の中だ。簡単には信用できないが、だからといって、何もしなければ始まらない。司法書士、弁護士を選ぶときには、どこをチェックすべきなのだろうか? 「まず、相談してみて、和解に至るまでかかってくる料金や費用が明確なこと。そして、依頼者の話を聞いてくれること。電話したときに対応の感じが良いこと。この3点は押さえておきたいですね。派手な経歴を自慢したり、議員とのつながりを吹聴したりする弁護士は怪しい。電話帳に大きな広告を出したりというのは、お金があればできること。その司法書士が、信頼できるかどうかの判断材料にはなりません」(前同)

 そうして相談へ行くときに、相談者が用意しておくと、話が一気にスムーズになるのが、借金の“履歴書”である。「どこの業者に、いつから、どれくらいの金額を借りたのかをリスト化します。うろ覚えの案件も、ひとまず書いていく。キレイに完済した業者にも、過払い金を請求できるので、完済した借金も書いておくことが大切です」(司法書士事務所スタッフ)

 相談へ行き、任意整理をスタートさせようと話がまとまると、第一に、司法書士が業者へ“受任通知”を通達する。これがスゴいのなんの。「業者が“受任通知”を受け取った時点で、一切の取り立てや催促がストップします。法律で禁止されているためです」(前同)

 暴力まがいの取り立てで悩み、心を病んでしまう債務者も少なくない中、まさに“水戸黄門の印籠”というべき効力を発揮するが、任意整理のスゴさは、これだけに留まらない。「支払いをストップさせてからの“未払い利息”は、免除されます。業者と和解してからの利息もゼロになり、遅延損害金を求められても支払う必要もありません」(同)と、法治国家らしい安心感の中で、借金問題の解決に着手していく。

「利息制限法の範囲で、借金の額を計算し直す“引き直し算”をします。そして、減額された、本当に支払うべき総額が判明するんです。それが、3年間(36回)の分割で支払えるようなら、任意整理の手続きに入ることになります」(同) あとは弁護士、司法書士の判断を仰ぎつつ、人生のリセットをできればよい。「たったの3年間です。毎月の支払い額も、ある程度は余裕を持った生活費を前提にして決めるので、爪に火を灯すような貧乏を強いられ、地獄のような返済生活を送るわけではありません」(前出・コンサルタント)

 とはいえ、3年間(36回)の分割で支払えないほど、額がかさんでいるケースもある。そうした人は、“個人再生”という別の手続きに入ることになる。「この“個人再生”というものは、任意整理よりハードで、自己破産よりはマイルドな借金解決策。任意整理と違って、裁判所をかませ、支払い総額を減額させるんです。ただ、手続きがかなり煩雑。忍耐力が求められるんです」(前同)

 そんな難しいことをするなら、諦めて、“自己破産すればいい”と考えている読者も少なくないだろう。しかし、それさえ叶わぬこともある。「基本的に自己破産は、ギャンブル、投資・投機行為、交際費、遊興費で作った借金では、することができません。“免責不許可事由”というもので、遊んで作った借金は、簡単にチャラにできないんです」(同)

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