さらに、体を冷やす食材の相乗効果という観点から、(5)夏野菜の摂りすぎも要注意と言うのは、医療ジャーナリストの牧潤二氏。「キュウリ同様、代表的な夏野菜であるトマト、ナス、ピーマン、オクラ、カボチャなども体を冷やすので、食べ合わせに要注意です」

(6)牛乳と魚介類
 栄養たっぷりの牛乳は、インドの医学では「完璧な食品なので、温めて単独で摂ること」と言われている。「むしろ、相性が悪い食品と一緒に摂ると体内に未消化物が残り、アーマ(毒)が発生すると考えられています」(平地氏) 魚介類のみならず、柑橘系のフルーツなど果物を合わせることは避けたほうがいいのだという。この考え方についても、近年、西洋医学との共通点が多々見つかり、研究が進行中だ。

 ジンギスカンやラム肉餃子など、寒冷地の料理で見られる(7)酢と羊肉は、体を「温めすぎる」組み合わせ。「どちらも体を温めるとされる食材です。そのためダブルで熱を生じやすく、のぼせて“出血傾向”という、ささいなことで血が止まらない状態になることがあるとされます」(前同)

 体を温めすぎるのは、(8)酒とカラシも同様だ。「『養生訓』では筋肉や骨を悪くすると記されていますが、酒も辛い物も血行を促進するので、血流が急激なってしまい、発疹が出やすいことが現在では分かっています」(前同) こうした寒熱の作用とは別に、片方の栄養素の吸収が、もう片方に阻害されてしまう食べ合わせもある。

(9)ニンジンとダイコン
 ダイコンには抗酸化作用=老化を防いでくれるなどの優れた効果があるビタミンCが豊富に含まれている。「ところが、ニンジンにはそのビタミンC成分を分解するアスコルビナーゼという酵素が含まれ、ビタミンCの効果がなくなってしまうのです」(生田氏) キュウリ、キャベツ、カリフラワーなども、同じくアスコルビナーゼを含む。「ただし、この酵素は熱と酸に弱いので、煮たり、酢和えにすれば一緒に食べても問題ありません」(前同)

(10)納豆と生卵
 納豆に含まれるビチオンというビタミンB群の一種は、腸内細菌を作る大切な働きをしている。「ところが、生卵の白身に含まれるアビジンというタンパク質成分と結合してしまうと、ビオチンは腸に吸収されなくなります」(同) 卵納豆ご飯が好きだという人にとっては由々しき事態だが、アビジンは熱に弱いため、少しだけ加熱して半熟卵にすれば問題ないとのことだ。ちなみに、納豆以外にビオチンが豊富に含まれている食材はピーナッツ、アーモンド、レバーなど。

 もう一つ大きな問題になりそうなのが、(11)牡蠣と海藻類である。「牡蠣は“男性機能”を高めるために重要な亜鉛を豊富に含んでいますが、ひじきやワカメ、もずくなどの海藻類にはこれを排出させる作用があります。生牡蠣のツマなどワカメがついてくることもありますが、あまりたくさん食べるのは避けたほうがいいでしょう」(男性クリニックの専門医) ちなみに、生牡蠣にちょっと絞るレモンやすだちなどは、逆に亜鉛の吸収を促進してくれるという。

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