■デビュー作は佐藤の出世作『電王』

「女優デビュー作は佐藤健(32/当時17)の出世作として有名な07年放送の『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)だったんです。佐藤の姉で喫茶店『ミルクディッパー』を経営している野上愛理(のがみ・あいり)という役でした。

 最初こそ“マイペースで天然のおっとりしたお姉さんで、彼女目当てに喫茶店に通い詰める男も絶えない”というよくあるシチュエーションのキャラクターとして描写されていましたが、実は子ども向け番組とは思えないとんでもなく重い設定があったんです」(特撮ライター)

 愛理には桜井侑斗という婚約者がいたが、本編開始直前の冬に突然蒸発してしまう。弟の良太郎(佐藤健)が湖の前で愛理を発見したときは、精神的なショックからなのか桜井に関する記憶だけ何もかも失ってしまっていた。

「良太郎も姉を放っておけずに高校を卒業直前で中退している、という実に重い設定です。

 しかもこの話には良太郎も知らない“真実”があり、終盤では悲痛な運命を受け入れた非常に強い女性であることも明らかになる。一連のはかない演技は、多くの視聴者の涙を誘いました」

 このデビュー作も影響したのか、松本はその後“薄幸系女優”として地位を確立。最近の作品では20年に多部未華子(33)主演ドラマ『私の家政婦ナギサさん』(TBS系)で「ナギサさん(大森南朋)の部下だったが責任感が強すぎて倒れてしまった女性」、21年の中村倫也(35)主演ドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)では「妻の死を受け入れきれない夫が見ている幻」といった役柄が続いている。

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