「年齢約500歳の妖怪はイベントに引っ張りだこ」唐沢屋戯画「京都で大人気の妖怪男の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます! の画像
唐沢屋戯画

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■恐ろしげなのは見た目だけ?気遣い満点の優しき妖怪参上!

 京都には古代より「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)」という伝説がある。鬼や狐、狼などの姿をした妖怪が列をなして歩き、行列を目撃した者は死んでしまうという、恐ろしい言い伝えだ。

 しかし、「モノノケたちが夜な夜な集まるなんて楽しい」と、京都では令和の時代になった今でも、妖怪パレードや妖怪イベントが数多く開催されている。いや、むしろ近年、妖怪の人気はさらに増しているのだ。

 中でも、とりわけ人気の妖怪が唐沢屋戯画。通称「ギガ様」。ひっかかられれば間違いなく命がないだろう鋭い爪が特徴の化け物だ。

「私は約500年前の京都からやって来た猟師の狼です。襟には仕留めた獣の毛皮を巻いています。過去で最も思い入れがあるのは、大正時代ですね。大正モダンが好きなので、いつも袴にブーツをはいているんです」

 およそ500年も生きている狼だから白骨化しているが、狩猟の腕前は健在。長い爪と猟銃を駆使し、狙った獲物は逃さない。妖怪の中でも、特に凶猛な存在だ。

 それでいて、少年少女から、お年寄りまで、幅広い世代に大人気。「妖怪演者」としてイベントに引っ張りだこ。

「お子さんにケガをさせてはいけませんから、爪は実は、フニャッと曲がる柔らかい素材を使っているんです」

 ときには妖怪イベントの交通整理まで頼まれるお人よしのギガ様(あ、人じゃなかった!)。見た目とは正反対の優しい妖怪なのだ。

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