■キーワードはラジオ

 では、どのような形で大団円が描かれるのだろうか? 鍵になるのはラジオだ。実は時代は変われど、ラジオはたびたび『カムカム』に登場している。安子編では、安子がラジオ英語講座を聞き、稔(松村北斗/26)との仲を深めた。また、習得した英語でロバート(村雨辰剛/33)とも知り合うことができた。

 るい編では、るいが働いていたクリーニング店で、常にラジオがかかっていた。るいはそのラジオで、ジョー(オダギリジョー/46)とのデートで見た棗黍之丞シリーズの映画のことを知る。また、ジョーが出場するジャズコンテストのことがラジオで紹介されるなど、物語の節目でラジオが重要な役割を果たしている。

 これはひなた編でも変わらずだ。時代的にはテレビが普及しているのだが、ジョーが商店街の福引で当てた3等の賞品が、ずいぶんと古びたラジオ。そのラジオで、ひなたは太秦映画村で出会ったビリー(幸本澄樹)と会話をするため英語講座を聞き始めるも、あっさりと挫折。このシーンでは、安子編で安子が必死に英会話を学ぶ姿を重ね、キャラの違いを楽しむ視聴者が多かった。

 このようにラジオは通奏低音のように『カムカム』に登場し、物語を彩ってきた。ひなた編では太秦という撮影所がメイン舞台になっているため、登場機会は少ないものの、また必ずどこかで使われることは間違いない。

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