■売れたキッカケは国民的人気を誇るあの漫画

 そんな日々が続き「次スベったら辞めよう」とまで追い詰められていた狩野に転機が訪れたキッカケは、狩野がさくらももこ先生のファンで、家に『ちびまる子ちゃん』(集英社)だけいっぱいある」ということだった。

 狩野は『ちびまる子ちゃん』はおよそ40人近くキャラクターがいるが全員キャラ立ちしていることに気付き、ナルシストな「花輪クン」に注目。「鼻につくけど、みんなから愛されるキャラクター」であること、狩野自身にナルシストな部分があったことから、狩野は「ヘイベイビー」「子猫ちゃんたち」という花輪クンのセリフを文字起こしして、それを元にコントを1本作って披露したところ、見事にウケて血尿も止まったという。

 ちなみに、この件に関しては「はじめて観客に大爆笑でウケた」ことに衝撃を受けてネタが飛んでしまい途中からグダグダになってしまった、という狩野らしい締まらないオチを『EIKO!GO!』で語っていた。もっとも、同時に「これだ! このナルシストキャラで売れる!」という確信も得られ、ぞくぞくとコントのネタも思いついたという。

 そのほか、この際披露したネタは「もしもナルシストがテレフォンショッピングの販売員だったら」で、「この商品もいいんだけど、もっと僕を見てぇ?」という感じだったこと、『ちびまる子ちゃん』との出会いは、当時小学4年生の狩野がピアノ教室に通った際に少女漫画が置いてあったことなども狩野は『EIKO!GO!』で解説している。

「この話を雑誌やテレビで何度も狩野が話していたところ、事務所にさくら先生直筆の手紙と、花輪クンが“いつも大爆笑さ。サンキュー!!”と手を振っていて、横にはまる子とお笑い好きな野口さんが描かれたイラスト色紙が届いたといいます」(前出の専門誌記者)

 この際、「息子がファンなので、息子にサインいただいてもいいですか?」というさくら先生のために、狩野はサインを送り返したという。

 ちなみに、狩野の苗字は“かの”と読むが、色紙では“KANOU(かのう)”と間違って書かれている。これについて狩野は「おっちょこちょいの『ちびまる子ちゃん』であるさくらももこ先生のいいところというか、味かなと思っております」と、20年1月8日に『EIKO!GO!』でコメントしていた。

 意外なところから生まれた狩野のキャラ。きっと天国で、さくら先生も喜んでいるに違いないー-。

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