■番組内でタモリが発した言葉とは?

 『タモリステーション』内でタモリが口にした言葉は、ほんのわずかだ。

「“こんばんは”と番組冒頭であいさつをしたタモリさんは、大越健介氏によるポーランドの都市メディカからの現地リポートを受けて “危険なこともあるかとあると思いますけども、どうぞ気をつけて取材してください。ありがとうございます”とひと言。

 その後、ウクライナ情勢を考察する時間帯が続くと終始“無言”を貫き、番組終了間際で、“こうしている間も大勢の人がウクライナで亡くなっているわけですね。というより殺されているわけですから。いろいろありますけども、一日も早く平和な日々がウクライナに戻ることを祈るだけですね”という言葉を発して、番組を締めくくりました」(前出のメディアライター)

 本来、番組の看板タレントがまったく喋らなければ、批判の声が上がるはず。なぜ、今回のタモリの“無言”は称賛されたのか。

「近年の情報番組やワイドショーでは、タレントや弁護士など、多くのレギュラー出演者が自由に意見を述べます。表現の自由のもと、誰でも自分の意見を述べられる環境が確保されているのは大いに結構なのですが、一方で、その分野の専門外のコメンテーターの意見が大きく取り上げられることもあり、そういった現状に辟易している視聴者も多い証拠なのではないでしょうか。

 今回の『タモリステーション』では、インターネットメディアなどでも高く評価されている小泉氏や兵頭氏といった専門家のコメントをメインにし、タモリさんがまったく意見を述べない構成を取ることで、ウクライナの現状解説を正確に伝えることができた。

 加えて、番組にタモリさんの名を冠することで、多くの視聴者にいわゆる“タレントの素人意見”ではない情報を伝えることができた。そうしたところが、高い評価を得たポイントではないでしょうか」(前同)

 硬派な情報番組でも発揮される、タモリのタレントとしての力は見事というほかない。

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