■「小説がうまくなった気がする」

 本年度の直木賞を受賞して、いまノリにノっている今村氏。受賞後は「小説がうまくなった気がする」のだとか。「というのは、今まではこう見えて遠慮しいだったんです。この出版社のカラーはこうだからこう書こうとか、読者のことを考えて書こうとかいう雑念があった。それが、直木賞をとったし、もういいかという感じで、大胆な攻めの文章も書けるようになったんですよ」

川西幸一

 今村氏の勢いはこれから増す一方だろう。川西氏もこれを受けて「僕らも、ライブをするときに、お客さんがこうやったら喜んでくれるんじゃないかと考える以前に、どうやったら自分たちが楽しくやれるかを考える。それが自然に出るのが一番大事だと思います。僕の好きな大谷翔平選手も、お金儲けや人に見せるために野球をやっているわけじゃなくて、自分がやりたいからやっている。野球も音楽も小説も、なんの仕事でもそうだけど、人のことではなく、自分がどうしたいかを考えることが大切なんじゃないかな」と、含蓄のある言葉を披露した。

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