■考察狙いだけではない丁寧な作り

 また、「誘拐犯が父親が子育てに興味なかったこと避難するあたり、昔トラウマになりそうだった『QUIZ』みたい。犯人は結局、子供本人で親への復習ってやつ。娘の自作自演?」と、同局系で00年に放送されたドラマ『QUIZ』を思い出したという声も。

 さらに、「二宮さん多部さんの演技力と存在感に引き込まれた。冒頭で澱んでいた温人の瞳が、家族と向き合い始めることでどんどん澄んでいったことが印象的だった」「手の震えとか、感情の移り変わりも細かいところまで本当にうまい」などと、二宮の繊細な演技も好評だ。

 妻役の多部をはじめ、共演者も存在感のある豪華な布陣で見ごたえがある。脚本は日曜劇場で『グランメゾン東京』『危険なビーナス』『TOKYO MER~走る緊急救命室~』を手掛けた黒岩勉氏のオリジナルで、同枠らしく綿密に練られているようだ。

 最近は視聴者の考察を誘うミステリードラマが多く、『真犯人フラグ』(日本テレビ系)は4月~9月期と2クールに渡って話題になった。しかし、考察ありきの雑な作りが目立ち、伏線の回収ばかりに関心が向けられて、物語に没入できたかというと疑問が残る。

 今作は謳い文句どおりの“ノンストップ”な展開で、怪しい人物の背景描写にも抜かりがないようだ。『真犯人フラグ』と違ってドラマの本筋がしっかりして、考察も楽しめる良質なエンターテインメントを期待できそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

  1. 1
  2. 2
  3. 3