■上手に死ぬためには死への覚悟が大事!
反対に「下手な死に方」をする人は、生きることへの執着心が強すぎる傾向にあるのだそうだ。
「本人や親族が“まだ死にたくない”“死なせないでほしい”と寿命に抵抗していると、体中にチューブを通され、機械の力で心臓だけが動いている状態になってしまうケースが多いです」
安楽死や尊厳死が法律で認められていない日本では、医師は治療しなければ殺人罪に問われる可能性がある。患者本人が過度の対処を望まなくても、逝去後に「手を尽くさなかった」「医者に殺された」と抗議する親族もいる。
ゆえに医師は目の前の患者を全力で助けるより他なく、安らかに眠ろうとしていた人々は苦痛を伴いながら、現世へ引き戻される。久坂部氏自身、過剰な延命治療で患者を半死の状態に陥らせた苦い経験があるという。
「人生は一度きり。死ぬのも一度きりです。だったら上手に死なんと、もったいない。そのためには、元気なうちから“明日にでも死ぬかもしれん”と覚悟しておく腹づもりが大事。死が遠い未来のことだと思っているから、いざ自分が当事者になると慌てるんです」
幸せな死を迎えるために、今日からでも心の準備をしよう。
よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など