■ロシアの日本上陸が「撃退される!」理由

 まず、ウクライナ軍がロシア軍の戦車を撃破している歩兵用の多目的ミサイル「ジャベリン」だ。自衛隊の同種の装備は国産の01式軽対戦車誘導弾。低空域を飛行するロシア軍機を撃墜している歩兵用の対空ミサイル「スティンガー」も、自衛隊は国産の91式携帯地対空誘導弾を保有している。

「01式も91式もジャベリン、スティンガーに劣らず高性能ですが、弱点もあります。日本では武器輸出が禁じられているため、他国に採用国がありません。したがって、有事の際に他国と同じ装備や部品を融通し合うことができなくなっています」(同)

 ただ、日本が、こうしたハイテク兵器を国産化できることは、強みでもある。

「ロシア黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦『モスクワ』が、ウクライナの対艦ミサイルで撃沈されましたが、日本の12式地対艦誘導弾は、世界で1、2位を争う高性能対艦ミサイルです」(同)

 また、米軍がウクライナへ供与した榴弾砲の分野でも自衛隊に強みが。

「99式155ミリ自走榴弾砲は、一定範囲を“面”で制圧できるため、他国が日本へ上陸した際の強力な武器」(同)になるという。

 一方、“陸戦の王者”戦車も、「10式戦車は世界最新鋭かつ最強。性能面では中露の戦車を凌駕」(同)という。

「12式で洋上の敵艦艇を撃破、海岸線への上陸は99式で迎え撃つ。それを突破したとしても、最強の10式戦車が待ち受ける……。ロシアが日本への侵攻を企てても、北海道占領は難しいでしょう」(同)

 このように、自衛隊の既存の兵器は精強なのだが、先進的な兵器の開発にも着手しなければ、今後、国土防衛は難しくなるという。

「ウクライナ軍は、ドローンで大きな戦果を挙げています。自衛隊は現在、偵察型のドローンしか運用していませんが、攻撃型ドローンの保有も検討し始めました」(軍事専門誌記者)

 日本は“その気”になれば、アッという間に攻撃型ドローンを作れるという。

「ドローンの最重要パーツであるカメラの技術は、日本がトップ。“ロシア軍のドローンのカメラはキャノン製”との報道もありましたからね」(井上氏)

 また、防衛省傘下の防衛装備庁は、ドローンを撃墜する有効な手段になると目されるレーザー兵器の実証実験にも成功している。

 さらに、「SFレベルの超兵器であるレールガンの開発も行っています」(前出の記者)

 ただ、政府が最も本腰を入れているのが、巡航ミサイルの保有だという。

「実は、専守防衛において重要なのが、相手の侵攻を未然に防ぐ敵基地などへの攻撃能力なんです。そのためには、長射程のミサイルが不可欠。日本は電子技術が発達していますので、優れた巡航ミサイルを国産化できるはずです」(井上氏)

 平和が一番だが。

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