■悪い意味でのターニングポイントは、Mリーグ2年目の不振
トッププロの人たちとリアル麻雀で戦って実感したことは、持っている知識の種類がだいぶ違うということです。僕はずっと自己流でネット麻雀をやってきて、その経験を知識として蓄えてきたわけですが、それが糧になっている一方、もしかしたら妨げになっている可能性もある。
ネットとリアル、アマとプロではフィールドがかなり異なるので、常に正しい判断ができるように対応しなければいけないと思っています。
そんな僕にとって一番のターニングポイントが天鳳位獲得だとしたら、悪い意味でのターニングポイントは、Mリーグ2年目の不振ですね。
それまでが嘘のように1年くらいは成績も内容も良くなくて、ずっと沈んでいく感じでした。個人戦ならまだ自分の負けとして割り切れるんですが、Mリーグはチーム戦。当然チームのファンもいますから、「別の選手が出てたら勝てたのに……」と思われたり、ネットでの評判も急落しました。精神的にずいぶん落ち込みましたが、ただ、そのあたりから「自分はどうすべきか?」ということを考えるようにはなりましたね。
そのおかげで、ここ最近は、負けたときの耐性ができたというか、負けても必要以上に落ち込まず、反省するところはしっかりと反省して、次に進むという軸が、心の中にできたような気がします。
このままでは絶対に終わりたくない! これが僕の今一番の気持ちです。もし成績が振るわなくても、けっして諦めずに上を見続け、個人としては最高位戦のタイトル獲得、Mリーガーとしてはチームの優勝を目指していきたいですね。
麻雀は、人間がどうあがいても最善手は打てないし、最善手というものが何なのかも分からないゲームです。逆に、それをどこまでも追求できるのが最大の魅力。だからこそ、僕としては、死ぬまで麻雀を追求していこうと思っています。
朝倉康心(あさくら・こうしん)
1986年、福井県生まれ。大学4年生から麻雀を始め、麻雀のオンラインゲーム『天鳳』に没頭。2010年に全プレーヤーの頂点、初代天鳳位を獲得。さまざまな活躍を続けながら、2016年に再び天鳳位(第11代)を獲得。2018年に『最高位戦日本プロ麻雀協会』に入会し、プロ入りを果たす。同年10月にスタートしたプロリーグ・Mリーグにもドラフト指名され、現在は『U-NEXT Pirates』に所属している。
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