■「憧れの俳優」も口に出したくない

『シマウマ』以外にも、2017年の藤原竜也(40)主演映画『22年目の告白―私が殺人犯です―』に刑事の春日部役で出演した際には、眉毛を抜いて強面を演出する役作りも竜星自身が提案して実現したという。

 カルチャー誌の『CUT』(ロッキング・オン)2017年10月号で竜星は、「僕は、そういう例外なキャラクターにリアルな存在感を持たせてあげられるのが、この仕事の面白さだと思うんです。だから『22年目』の春日部も、『どっちが暴力団かわかんないチンピラみたいな警察官がいてもおかしくないじゃん』と思いながら演じました」と、アクの強い刑事役に、自身の演技によって存在感を与えられる喜びについて語っていた。

「竜星さんが演じる“キャラクターにリアルな存在感”を持たせていくことが役者の面白さだと捉えているからこそ、『シマウマ』のドラ役で観客から嫌われたら役者冥利につきる、という発言をしたんでしょうね。竜星さんは、俳優という仕事を心から楽しんでいるんでしょう。だからこそ、演じる役を超えて、自身が好印象を持ってもらったり、時には猛炎上するほど嫌われることは、まさに本望なことなのでしょうね」(前出のテレビ誌編集者)

 竜星は2013年10月の『女性セブン』(小学館)のインタビューで、好きな俳優について尋ねられ、以下のように答えている。

オダギリジョーさんは憧れのかたの1人ですが、実はあまり積極的に言いたくないというか…。好きな俳優さんはいっぱいいますが、やっぱり同じ職業だし、実際に現場でお会いすることもあるので、そこは口に出してしまうと『自分、負けだな』っていうところもあるので…」

 前出のテレビ誌編集者は続ける。

「憧れの俳優さんについて口に出すと“自分、負けだな”とまで言う竜星さんは、非常に負けず嫌いなんでしょう。

『ちむどんどん』の賢秀があそこまで嫌われてしまったのは、竜星さんが本当にキャラクターにリアリティを与えて、視聴者の感情に訴えかけられているということ。それは、俳優としてものすごいことなのではないでしょうか」

 これからも竜星は、“クズ”なニーニーとして『ちむどんどん』の視聴者の心を激しく揺さぶり、役を超えて「竜星が嫌い」とまで言われてしまうトラブルメーカーを演じてくれるのだろう。そして、今後、クズではなくなったニーニーがヒロインの暢子や比嘉家を救うときが来れば――そのとき、視聴者の目には感動の涙があふれるのかもしれない――。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4