■「波動みたいなものを凄く感じる役者さんだと思いました」

 また、伊藤には地元に高校時代からの友人がおり、

「みんな、ベロッベロに酔っ払って(笑) でもみんな洗い物はしてくれるんで、洗い物してもらって。そのあと見て、洗えてねぇんだよ! とか言ったりして(笑) それでちょっと時間経ったら、また“健太郎、お腹が空いた~”ってみんなが言ってきたので、ご飯を作って、その繰り返しでしたね。

 特に何かをするわけではなく、いつも通り過ごしていたんですけど。4人全員が集まったのってすっごい久しぶりで、多分高校生以来だったと思うんですよね。すっごい久しぶりに全員揃ったから、変にテンション上がっちゃってて、“全員揃ったな、おい!”とか言ったりして、みんなでお酒を飲んで年を越しました(笑)」

 と19年1月に『健太郎のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)で語っている。伊藤が不祥事を起こした際も、親友たちは支えてくれたに違いない。

「ひき逃げ騒動は、被害者側との和解が成立したとはいえ取り返しのつかない出来事でしたが、伊藤さんは本当に友人には恵まれているし、今回も阪本監督という良縁があったからこそ、映画俳優として戻ってくることができた。『冬薔薇』は自分と向き合うような脚本だったでしょうし、伊藤さんには再起を期待したいですね」

 なお、伊藤の父親と母親をそれぞれ演じた小林薫(70)と余貴美子(66)は、6月3日公開の映画エンタメサイト『otokoto』での対談でそれぞれ伊藤をこう評している。

小林「僕たちが芝居をする時、足し算をどうしていくかを考えがちなんです。でも、伊藤くんを含めた若い人たちは、引き算がちゃんと出来る。本当にナチュラルな感じで現場に立てるんです。想いみたいなものは、映像の中から出てくるから過剰にそれを説明しないようなイメージで、ナチュラルに演じるんです。その波動みたいなものを凄く感じる役者さんだと思いました」

余「本番までお話をしたことがなかったんですけど、親子関係を作るのに時間はかからなかったです。スッとその世界に入る、台詞の内容ではなく、関係性をすぐに作れたのが良かったです。人生の途中から始まり途中で終わる物語では、長く過ごした見えない時間を感じるのは難しいです。伊藤さんはすぐに関係性を縮めてくれました」

『冬薔薇』のラストはポジティブかネガティブか、観客に回答を委ねる形で終わっている。伊藤の未来はどちらになるのかー-。

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