■「面白くてもそれによって何らかの影響力を与えると言う事を常々考えとかないかん」とテレビ批判

「もともと、上岡さんは大のオカルト否定派で“霊感がある”とか“幽霊を見たと話すゲストをばっさり否定するスタイルのトークで有名でした。この日の『ナイトスクープ』では、下宿部屋に出現する幽霊に悩む医大生の依頼を受けて検証を行う『恐怖の幽霊下宿』というテーマだったんですが、検証といって霊媒師を呼んだり、桂きん枝さん(現:桂小文枝/71)と桂小枝さん(67)が除霊師に扮したりと終始ふざけ倒した内容で、このVTRが終了したスタジオトークで、上岡さんは大激怒したんです」(前出の専門誌記者)

 上岡は、

「ああいうのをテレビに出すというのは、非常に危険なんですよね。除霊師という連中ね、テレビに出すことによって『市民権を得た』とか『認知された』と勘違いする」

 と非難。途中のおふざけパートはまだいいが、

「(このVTRで)何の実証もされてないわけでしょ?これをつくったディレクターは何を結論づけようとしているわけですか?」「『やっぱりお化けはいてる』という風にしたいわけですか?」と続け、「ただ面白かったらいいというスタンスだと思う」という小枝のフォローが火に油を注ぐ形になり、

「いや、だから、テレビのそれが一番僕はいかん!面白かったらいいわけやなくて、面白くてもそれによって何らかの影響力を与えると言う事を常々考えとかないかんわけですよ!」

 とヒートアップ。小枝が用意していた裸のおふざけ写真を出してオチをつけることでコーナーはひとまず区切りをつけることが出来たものの、「ディレクター誰?」と担当を呼び出した上岡は、

「ものすごい危険なテレビですよ、これは。こんなこと許せません!絶対許せません! それだったらハッキリと幽霊がいることを立証してください。除霊師の部分も。“いるかいないかわからないまま”終わらせないでください。“いない”と断定して終わるのがテレビです!」

 と公開説教をして、収録はストップ。そのまま、収拾がつかずに、上岡はスタジオを後にしてしまったのだ。

「この時代のメディアは、オウム真理教やその教祖である麻原彰晃氏を“面白いタレント”ともてはやしていた。その翌年に地下鉄サリン事件というテロがあったわけですから、なおさら重い話です。現代になって、あらためて上岡さんの動画を見るとまた違った感慨がありますね」(前同)

 天才芸人の言葉は、未だに古びることなく響くーー。

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