■振り切った『初恋の悪魔』

 脚本の質も高く演者の力量も十分なのだが、なにしろとっきにくい。キャストそれぞれのキャラが過剰なほどにクセが強く、セリフまわしも小劇場の舞台のようにオーバーに繰り出される。ストーリーやキャラ配置はよく考えられ、絶賛する声も多いのだが、そのクセの強さゆえに、早くも離脱した視聴者が多かったようだ。

 一方の『テッパチ』は、陸上自衛隊を舞台に青年たちの成長と熱き思いを描いた物語。町田の他、佐野勇斗(24)や佐藤寛太(26)などイケメンをそろえ、トレーニングやシャワーシーンなど、視聴者へのサービスがてんこ盛りになっていて、いかにも女性視聴者の支持を得そうだ。

 しかし、売りでもある陸上自衛隊が舞台、というのがネックになっている。当然だが、駐屯地の外に出ることはないため、物語の広がりに欠ける。女性キャストも上官に白石麻衣(29)が配置されているのみで、上官である以上、当然、恋愛展開は望むべくもない。現在はそれぞれが抱える複雑な事情が描かれているのだが、「これからどうなるのか?」というワクワク感に欠けるのだ。これは連続ドラマとしては、致命的な欠陥だろう。

 とはいえ、『初恋の悪魔』も『テッパチ!』も意欲的な作品であることは間違いない。『初恋の悪魔』の「ついてこられる人間だけついてくればいい」と言わんばかりの振り切った作り。『テッパチ!』の自衛隊全面協力のもと本物の装備を使った本格的な演習シーンと、肉体派イケメンたちのこれでもかとばかりに見せつけるサービスシーン。言い方を変えれば、どちらも狙ったドラマなのだ。

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