「夢見る若者たちを応援したい!」テルマエ立川さん(59)「料理も一流のミュージシャンの巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
テルマエ立川

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■関西で評判の店のマスターはギターとフライパンの二刀流!

 大阪の総持寺にある『チェンノガット』は「料理がとびきり、おいしい」と評判のライブバーだ。調理するのはマスターのテルマエ立川さん(59)。20代から神戸の有名洋食店や高級ホテルの厨房で働き、本場イタリアでも腕を磨いた本格派。

「修業時代、よく古代ローマの公衆浴場遺跡“テルマエ”で休憩していたので、その名をつけたんです」

 メニューは生地から手作りするピッツア、パスタ、ハンバーグなど素朴なもの。味のよさもさることながら、安くてボリュームがスゴイ。たとえば「東京ドームオムライス」ならば、一般的なオムライスの4人前に当たる量。それで一皿、たった1000円というから驚く。

「食べ切れなくても、残りを折り詰めにして持ち帰れるじゃないですか。次の日に食べれば、1回分の食費が浮く。若くて金がないミュージシャンは助かるでしょう」

 なんと、単なるデカ盛り挑戦メニューではなく、未来のアーティストを応援したい気持ちから、この量になっていたのである。

■アーティストから料理人になるも…

 そんな彼自身もミュージシャンだ。エレアコギターを激しくかき鳴らし、時には白目をむいて絶唱する

「弾き叫び」の迫力には、誰もが圧倒されるだろう。

「ゾンビを演じながら歌う場合もあるんです。“アトラクションシンガー”と呼ばれているんですよ」

 ギターとフライパンの二刀流で生きるテルマエ立川さんは幼少期、ビートルズに影響を受けた。彼らがエリザベス2世からMBE勲章を授与されたと知り、「自分も天皇陛下から勲章をもらいたい」とミュージシャンを志す。

 高校時代には早くもギターでオリジナル曲を演奏し始め、卒業する頃にはバンドでプロダクションに所属するほどの腕前となった。しかし人気は爆発には至らず、母から「そろそろ別の仕事を」と勧められる。

「高校時代から喫茶店のキッチンでバイトをし、料理には自信がありました。音楽に心残りはありましたが、“どうせなら、とことん、やろう”と料理人の道へ進んだんです」

 そうして料理の才能が開花。フレンチ、イタリアン、スペイン料理を習得し、一時期は3軒を同時に回すほどの、人気オーナーシェフとなる。しかし……。

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