■“おじさん3人”が考えた脚本に大ブーイング

 朝ドラ60年の歴史でワースト作品となりそうな『ちむどんどん』。出演する黒島結菜、竜星涼、宮沢氷魚らにも厳しい声が飛んでしまっているが、どうしてここまで酷評されるドラマとなってしまったのか――。

『NHKドラマ・ガイド ちむどんどん』(NHK出版)のPart1では、脚本の羽原大介氏が最終週までのプロットを作成し、制作統括の小林大児氏、演出チーフの木村隆文氏を含む3名が中心となって展開を相談し、より具体的に検討して脚本を作成したことが明かされている。

「彼らがガイドブックの対談で明かしているように、『ちむどんどん』は“おじさん3人”でストーリーが作られたようです。

 大不評の恋愛描写に関しては、『ちむどんどん』のプロデューサーの高橋優香子氏や羽原氏の助手など、“比較的若い世代の女性たちにも協力してもらって、微妙な塩梅を検証しました”と、羽原氏が『ちむどんどん FANBOOK』(宝島社)で語っていましたが、結局は脚本制作の責任者に女性が1人もいなかったということ。その結果として、朝ドラのメイン視聴者層である女性が全く共感できない話になってしまったのではないでしょうか」(前出のテレビ誌編集者)

 ド天然で自由奔放な主人公の暢子が、周囲をグサグサ傷つけながら成就させていく恋愛描写に関しては、視聴者から「ちむどんどん舐めてたわ。恋愛編マジで苦痛だ」「これほど周りに酷な恋愛の朝ドラあったか?」といった批判が上がってしまっている。

 暢子らの恋愛だけでなく、第14週「渚の、魚てんぷら」に登場した西郷親子のエピソードも「あまりにデリカシーがない」と批判されている。高木渉(56)演じる西郷久雄は、死別した妻の担当だった看護師との再婚を娘・めぐみの誕生日に切り出す。娘は一度拒否するが、結局はすぐに再婚を許してくれた。

「これには、“母が病気で苦しんでいたときに、父は看護師を恋愛対象としていたのは娘にとって相当ショックなはずだ”“気持ち悪すぎるのに、娘の気持ちがすぐに変わるなんてあり得ない”という猛批判がされていました。

『ちむどんどん』は総じて、リアル感が薄く、実際にはあり得ない話が多すぎるんですよね。だから気持ちが悪い。重鎮脚本家、NHKで出世に成功した偉い制作統括と演出チーフの“おじさん3人”が独走して作った、根本的なところがずれた脚本のせいで女性視聴者の共感が全く得られない酷いドラマになってしまったのではないでしょうか」(前同)

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