■全国の路線バスの推定赤字は3759億円

 全国の路線バスの2020~21年度の営業収支は推定3759億円の赤字で、コロナの感染拡大前の10年分の損失に相当することが明らかになった、と8月15日付の日経新聞が報じた。

 かねてより人口の減少などに伴って路線バスの収支は厳しい状況にあったが、コロナ禍の行動制限がそれに拍車をかけたとされる。

 国土交通省が公表している全国の路線バスの収支は、2020年度が1992億円の赤字。日本バス協会の試算によると、2021年度は1767億円の赤字になる見通し。人口減による利用者の減少で路線バスの収支は以前から厳しく、2019年度も562億円の赤字だったという。

■倒産してしまうバス会社も

 前出の制作会社関係者が続ける。

「昨年10月の『クローズアップ現代』(NHK総合)でも『鉄道・バス大減便の先に くらしはどうなる?』と題して特集を組んでいましたが、路線を廃止するバス会社も多数。赤字に耐えられずに倒産する会社も少なくありません。

 これまでも路線バスは便数を減らしたり、路線そのものがなくなったりしていましたが、『バス旅』でも、かつて太川さんや蛭子さんが当たり前のように利用していたバス路線が、最近の放送では、“バスがなくなっている”、ということも多々あります。

 コロナは収束にはほど遠い状況で、今後もますます全国の路線バスの赤字は膨らんでいき、より減便や路線廃止が進むでしょうね。もはや、『バス旅』が成立しない懸念があり、番組や企画の根幹を揺るがす事態になりつつあるわけです。

 田中さんと羽田さんの不人気コンビは遅かれ早かれ卒業することになりそうですが、そんなことよりも遥かに深刻な事態、『バス旅』の番組の存亡自体が厳しい状況を迎える日が刻々と迫ってきています……」

“バス旅のプロ”太川の奮闘もむなしく、『バス旅』シリーズは終焉を迎える運命にあるのだろうか――。

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