■竜星涼&佐津川愛美、黒島結菜&宮沢氷魚の“ハプニング場面”にもブーイング

 歌子が偶然、智を押し倒したシーンだけではなく、『ちむどんどん』では以前から「昭和のラブシーン」的なハプニングが描かれている。

 7月15日放送の第70話、竜星涼(29)演じる暢子らきょうだいの兄、賢秀は勤務先の養豚場の事務室のソファで居眠りしていた。そこへ、佐津川愛美(34)演じる養豚場の娘・猪野清恵がやってきて、賢秀を起こそうとするのだが、寝ぼけている賢秀は清恵の上にのしかかってしまう。

 賢秀は寝言で「好きやんど~」と言いながら清恵の胸元を枕に寝ていたところ、そこへ中原丈雄(70)演じる養豚場の経営者で、父の猪野寛大が2人を発見。2人が男女の仲だと誤解してしまい「あっ、ごめん。すまん、失礼、いや……」などと言いながらその場から去るというシーンが描かれた。

 また、暢子と和彦が“急接近”した際のシーンにも、猛批判が飛んでいた。

 7月6日放送の第63話、宮沢演じる和彦は飯豊まりえ(24)演じる大野愛と婚約中だった。暢子が料理をしながら、和彦と下宿先の「あまゆ」で雑談していると、話は和彦が結婚して下宿から出ていくと、愛と和彦、暢子と智が4人で築いていた今のような友人関係は終わりになるという話題へ。夏が終わる前に海へ行きたいという話が持ち上がり、「最後にばーっと騒ごう、みんなで」と暢子が提案すると、和彦は「2人でもいいけど」と発言。大きく動揺した暢子は包丁で指を切ってしまう。

 慌てて和彦が暢子の手を取って傷を確認。超接近した2人はそのまま、意味ありげにお互いの顔を至近距離で見つめ合う――という流れが描かれた。

 このシーンには、和彦が愛と婚約中であることなども含めて、視聴者から「指切った暢子の手を握り、見つめ合いって、どんなコントだょ」「ああもう和彦と暢子の見つめ合いがキモイ」「暢子と和彦の二人きりの見つめ合い。この二人どこまで気持ち悪い事を繰り返すのか?」と猛批判が飛んでしまう結果となった。

「結局、『NHKドラマ・ガイド ちむどんどん Part 1』(NHK出版)などで明かされているとおり、脚本の羽原大介氏、制作統括の小林大児氏、演出チーフの木村隆文氏の“おじさん制作陣”3人で話を考えたラブシーンが、ことごとく酷評を受けてしまっているのではないでしょうか。

 実際に視聴者からも、“ちむどんどん、女は男から好意を抱かれたら嬉しいだろって男性目線で作られているから出てくる男たちは総じて気持ち悪い行動に出る”といった、古い男性目線で作られているのが不快、と指摘の声が多数上がっています。

 すべての男性脚本家や制作スタッフがダメだ、というわけでは決してないですが、2021年前期の朝ドラで、安達奈緒子氏が脚本を書いた『おかえりモネ』や、『ちむどんどん』の前の朝ドラである藤本有紀氏が脚本担当を務めた『カムカムエヴリバディ』では、ヒロインの甘酸っぱい恋愛が朝ドラにふさわしい清潔感あふれる爽やかさで描かれていただけに、どうしても朝ドラファンは『ちむどんどん』で描かれる、身体的接触をきっかけに男女を意識する、という恋愛描写が気になってしまうのではないでしょうか」(前出のテレビ誌編集者)

 視聴者の心に「キュン」を発生させるべき、とも言えるのかもしれない朝ドラの恋愛展開。『ちむどんどん』が“超嫌われ作品”となってしまったがゆえに、繰り返される「昭和のラブシーン」は火に油をそそぐ形になっているのだろう。脚本や演出がアダとなってしまっている『ちむどんどん』に、まだ汚名返上のチャンスは残されているのだろうか――。

NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』
NHK総合 月~土 8:00~8:15、12:45~13:00(土曜は一週間の振り返りを放送)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/chimudondon/

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