■『ちむどんどん』の致命的なミスとは?

 また、婚約者の愛(飯豊まりえ/24)がいるにもかかわらず、和彦(宮沢氷魚/28)への気持ちを抑えようとしない。朝ドラのヒロインとしては考えられない、略奪愛を笑顔でやり遂げたことは、もはや言うまでもないだろう。

「暢子のワガママには目も当てられませんが、そもそもの問題は、彼女に人生の師匠(メンター)がいないことなんですよ。ヒロインが迷い、間違ったことをしそうなとき、諭してくれる存在がいない。この設定が大きな問題でしょう。朝ドラはヒロインの成長物語なのでメンターは欠かせないのに、それを外したのが、そもそもの問題なんです」(ドラマ脚本家)

 これまで朝ドラのヒロインには、『おかえりモネ』にはサヤカさん(夏木マリ/70)、『おちょやん』には女将・シズ(篠原涼子/40)というメンターがいた。また、『カムカムエヴリバディ』には人物ではないが、「おいしゅうなれ」のおなじないがヒロインを導くキーワードになっていたが、暢子には導いてくれるパーツがないのだ。暢子の傲慢ともいえるふるまいは、それが原因となっている。

 本来なら房子や三郎(片岡鶴太郎/67)が、その役目を果たすのが自然なのだが、それができていない。暢子の自由奔放さは魅力だが、それが野放しになっているため、視聴者の反感を買い続けているのだ。批判がここまで集まっているのは、この設定ミスによるものではないだろうか。

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