■ラストシーンの伊藤英明が気になりすぎる

 視聴者のツイッター上での反響は、「星砂の手紙に愛が溢れていて、読んだ悠日の涙が切なく、そんな悠日に寄り添う小洗さんが良かった」「自分らしくあるために孤立していた鈴之介と、周りに合わせて生きてきた悠日が、それぞれの状況で立場や行動が逆転していくのを見せられているのスゴい」などと好評。

 鈴之助、悠日、星砂、琉夏(柄本佑/35)の人間関係や、エピソードが複雑に絡み合い、ドラマを途中から見始めても、その世界に入りづらいため、視聴率は変わらずで、今回は4.2%(ビデオリサーチ社調べ/関東地区)と微減。しかし一方で、テーマの奥深さや俳優陣の熱演もあり、絶賛の声は増えるばかりだ。

 次週から最終章が開幕する本作だが、気になるのが今回のラストで、雪松署長(伊藤英明/47)が、“きょうこ”という名の人物に電話していて、「大丈夫、今帰るところ。なんとかさ、片づいたよ。やっと終わったんだ……。ありがとう」と涙ながらに語りかけるシーン。もしかしたら、3つの殺人事件は雪松署長の復讐に関係しているのかも。

 何を考えているのか分からない謎の人物だった雪松署長に、得体の知れない闇が見えてきた。そこで、坂元脚本作品で思い出したのが、2011年放送のドラマ『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)だ。本来会うことのない被害者の兄と加害者の妹が出会うという設定で、坂元脚本ファンの中にも本作と世界観が似ていると指摘している人がいる。

 はたして伊藤英明が演じる雪松署長は、『それでも』でヒロインの兄であり主人公の妹を殺害した、少年A役(風間俊介/39)のようなサイコパスな犯罪者なのだろうか? また、両作の共通の出演者である満島ひかりが、2つの坂元脚本の世界観をリンクさせることは? 深読みしすぎかもしれないが、最終章に突入した本作が、どういう着地をするか見守りたい。(ドラマライター/ヤマカワ)

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