■黒島結菜を潰し、舞台の沖縄を「軽視」

 2つ目の“罪”は、ヒロイン・比嘉暢子を演じた黒島結菜を“潰した”ことだという。

 暢子はプロの料理人という設定なのだが、黒島のたどたどしい手つきの調理に「役作りが足りない」と猛ツッコミが入ったり、感情が揺さぶられているはずのシーンでも「表情の変化が乏しい」といった指摘がされたりと、主演女優としての資質を疑う声もあったが、

「ただ、そうしたこと以上にはるかに酷いのは、暢子のキャラクター設定でしょう。暢子はあまりにも空気が読めない“天然”で、基本的に自分勝手ですべて自己都合で行動する人。そのことで周囲の、たとえば飯豊まりえさん(24)が演じた大野愛などですが、好感度が高かったキャラクターを何人もひどく傷つけています。そのことで、多くの視聴者は暢子に強烈な嫌悪感を抱いてしまった。

 そしてその嫌悪感が、暢子を演じる黒島さんへうつっていってしまったんです。役作りが足りない、感情表現が拙いなど、彼女の演技力に疑問を持つ視聴者がかなり増えてしまいました」(前出のテレビ誌編集者)

 すでに、黒島がヒロインとして出演する10月期のドラマ、King&Prince平野紫耀(25)が主演する『クロサギ』(TBS系、10月21日開始、毎週金曜日夜10時から)への影響も無視できないほどになっている。SNSには、「この役暢子なのマジでむり」「クロサギ楽しみにしてたのに、暢子出よる。大丈夫かいな?」と、ネガティブな意見が続出してしまっている状態だ。

 女優・黒島結菜の未来へも悪影響を及ぼしている『ちむどんどん』なのだが、ラスト、3つ目の“罪”は、「“沖縄返還50周年記念作品”と銘打たれた作品なのに、沖縄へのリスペクトが欠如していると感じられたこと」と前出のテレビ誌編集者は言い、こう続ける。

「作中、沖縄が本土に返還されたという描写は“バスの車体への垂れ幕”と通貨の変更くらいで、米軍統治時代や基地問題などは一切描かれませんでした。

 さらに、視聴者からも“最も酷い”と怒りの声が上がっているのが、夫の和彦が沖縄戦での犠牲者の遺骨収集をする嘉手苅氏の話を聞いた後のシーンです。それは、“戦争で亡くなられた、被害に遭われた人々を軽視している”ともとられかねない演出、として話題になりました。

 沖縄戦時、嘉手苅氏が砲撃から逃げる最中、手を引いていた少女の手を離し別れ離れになったたことを後悔し、戦後、その少女を探すために遺骨収集を続けているという壮絶な話が語られたのですが、和彦はその話を受けた直後、沖縄のきれいなビーチで、後に結婚する暢子に対し、“僕はこの手を絶対に離したくない。嘉手苅さんの分まで”と言い放ち、“手を離さない”という部分を利用して愛の告白をするという“トンデモ演出”となっていたんです。

“ちむどんどん反省会”には重箱の隅をつつくようなどうでもいいような指摘、また誹謗中傷とも取れそうな汚い言葉もあり、すべてが賛同できるものでは決してありませんが、このシーンに巻き起こった怒りの声には、“その通り”と感じましたね。あまりにも酷いストーリー展開でした。

 次の朝ドラ『舞いあがれ!』は、長崎県の五島列島と東大阪市が舞台ですが、しっかりと舞台となった土地へのリスペクトも見せてほしい、と視聴者は期待しているのではないでしょうか」(前同)

 9月30日の最終回後も、『ちむどんどん』の余波は大きそうだ――。

NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』
NHK総合 月~土 8:00~8:15、12:45~13:00(土曜は一週間の振り返りを放送)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/chimudondon/

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