■『silent』はギャンブル?

 ジャンルがミステリーと恋愛ドラマ、俳優としてキャリア十分な山田と売出し中の目黒と、条件に違いはあるが、それぞれ同枠前期の夏ドラマは、『テッパチ!』の全話平均視聴率が4.8%、『純愛ディソナンス』が3.9%(ビデオリサーチ社調べ/関東地区)とともに爆死。それだけに、今期で挽回したいところだろう。

 大きく違うのがスタッフで、『親愛なる僕へ殺意をこめて』の脚本の岡田道尚氏は、映画『マスカレード・ホテル』シリーズや、ドラマ『宇宙を駆けるよだか』(Netflix)などを手掛けた実力者。総合演出の松山博昭氏も『ミステリと言う勿れ』や『信長協奏曲』など、人気ドラマを手掛けている。

 一方、『silent』の脚本は上記の通り新人の生方氏で、演出の風間太樹氏も“ちぇりマホ”こと純愛系BLドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)が話題になったものの、プライム枠の経験はなく、このタッグがどんな結果を生むか読めない。

 さらに、『silent』は聴覚障がいを扱うため、演技や演出に“聞こえない”ことの表現に工夫が必要になってくる。『親愛なる僕へ殺意をこめて』は手堅い結果を期待できそうだが、『silent』はスタッフのキャリア不足や、作品の難しいテーマのため未知数だ。

 白杖を手にして歩く弱視を扱ったドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)は、一般視聴者だけでなく障がいを持つ当事者からも高い評価を受けた。はたして、『silent』はどんな結果となるだろう。売出し中の目黒の黒歴史にならなければ良いのだが……。(ドラマライター/ヤマカワ)

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