■『ファーストペンギン!』はリアタイ向き?

 また、ドラマラストで「お魚ボックス」に乗り気だった片岡が、地元漁協の組合長・杉浦久光(梅沢富美男/71)の激昂で手のひらを返したため、和佳が2人に「クソひょっとこ」「イカれドタコ」と言い放ったシーンが、「奈緒ちゃんがスカッとジャパン並のキレっぷり発揮しててヤバい」などと好評だった。

 森下氏の脚本がよく練られているうえ、メインから脇まで、演者たちが巧みなことから、心地よいリズムが作り出されている。視聴者の評価だけでなく視聴率の数字も良く、同じ水曜10時枠のドラマで山田涼介(29)が主演する『親愛なる僕へ殺意を込めて』(フジテレビ系)の4.5%に、倍近く差をつける圧勝となった。

 しかし、見逃し配信サービス「TVer」では、放送翌日から週明けまで、『親愛なる僕へ殺意を込めて』が同ドラマよりランキング上位に立ち続けている。こちらは猟奇的な拷問や遺体のシーンなどグロテスクなシーンが多く、子どもが起きている10時台では見づらいという声が少なくなかった。

 そのため、自分のタイミングに合わせたり、好みの視聴方法で楽しめる配信で見る人が、多かったのだろう。リアルタイムの視聴では『ファーストペンギン!』の勝ちだったが、今後、配信で見た人たちからの口コミが広がることが予想される。同時間枠対決の行方に注目だ。(ドラマライター/ヤマカワ)

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