■「お約束」の「川井サウンド」「ピロピロ音」の使われ方も大胆変更

 また、番組名物である川井憲次氏(65)が手掛けるBGMや、全体的な効果音の使い方も、大幅に変更となった。

「『科捜研』のお約束の盛り上がりポイントの1つは“川井サウンド”とも呼べる、まるでロボットアニメのような存在感抜群かつ緊迫感のあるBGMや、パソコン操作時に流れる“ピロピロピロ……”“ピー!”といった電子音などでしたが今回はかなり控えめ。“川井サウンド”は前面に出ておらず、お馴染みのメインテーマは真相解明の直前まで使われなかったほか、電子音に至ってはリアル寄りにしたのか鳴ることがなかった。

 公式ツイッターに投稿された第2話の予告も、“25年前に死亡したはずの科学者(森崎ウィン)がAIで蘇る”という、『科捜研』らしいトンデモ展開や“毒ガスを阻止するためにクイズ対決”“制御不能AI殺人”というキャッチーな要素を入れつつも、やはりいつもなら使われている派手なメインテーマは使われていません。

 こうした“お約束はずし”に視聴者は戸惑いが大きかったのでは、と考えられますね」(前出の制作会社関係者)

 今回の路線変更に困惑した視聴者はやはり多いようで、

《劇中曲が変わってしまって科捜研の女っぽくなさすぎて困惑している》《なんか今までと映像の雰囲気が違うな。 コミカル路線に走りそうになってるのをシリアス路線に変更しようとしてるのかな。》《科捜研の女の良さってコメディ路線で子供でも理解出来る様な話なんだよ。他のドラマでは味わえない雰囲気が良かったのに良さ消えた。1話で離脱する》

 という声も少なくなくSNSに寄せられている。

 結果的には、世帯視聴率は高いが、コア視聴率は低い。つまりこれまで通り、「シニア層が見ているが若い層は見ていない」という結果になったが、これも今後が危ぶまれるという。

「宣伝でもTikTokを積極的に利用したり新たな施策をいろいろとやっているようですが、ドラマは若い層を狙いすぎてあまりにも大幅に変えてしまいすぎると、従来の層が離れる危険性がありますよね。新生『科捜研』は『ドクターX』の大門未知子のようにカッコいい榊マリコのヴィジュアルが話題でしたが、従来のファンが楽しんでいたポイントがなくなりすぎてしまえば、結果的に、二兎を追う者は一兎をも得ず、のパターンになってしまう危険性も十分にあります。

 もちろん、テレビ朝日としてはそこは覚悟の上で、視聴者の若返りとマンネリ打破に踏み切ったのでしょうが……」(前同)

 まだスタートしたばかりの新生『科捜研』。沢口をバラエティ番組に招いたり積極的な告知活動も行なっているが、同作は最終回までに従来のファンはキープしつつ、若年層のドラマファンを獲得することはできるだろうか。

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